あおり運転・宮崎文夫容疑者が元取引先にかけた「怪電話」の中身
「狙われているんです」
その後、没交渉となっていた社長のもとに、再び宮崎容疑者から連絡があったのは昨年3月のこと。
「突然、深夜1時半頃に、電話がかかってきたのです。彼の番号を消していたためわからず、私が“誰?”と聞くと“ご無沙汰しています”とだけ言い、電話は切られてしまいました」
直後にまた着信があり、
「“宮崎です”と言われて、彼だとわかったのですが、“かけ直します”と言われ、電話はまた切られました」
すぐに社長が折り返すと、
「“いま(大阪市内の)桜川のロイヤルホストにいます。身の危険を感じているので迎えに来て欲しい”とか“管理会社の営業から狙われているんです。脅されてます”などと支離滅裂なことを言う。咳が止まらず、明らかに様子が変でした」
電話口からは、女性の声も聞こえたという。
「“誰かと一緒なんでしょう”と聞いても、激しく咳き込むばかりで電話は切れた。事件にでも巻き込まれたかと不安でしたが、彼からの連絡は二度とありませんでした」
意味不明の錯乱した物言い。社長が気味悪さに身震いしたこの電話から1年半後、男は全国に指名手配された。
元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝氏が、宮崎容疑者の今後を解説する。
「逮捕容疑の傷害罪だけでは罰金刑で済むかもしれません。あおり運転について暴行罪での立件も検討されているものの、ハードルが高い。ただ、単純横領罪は懲役刑しかありませんので、借りた車を返さずにいた横領罪と先の傷害罪をあわせて起訴し、実刑を求刑することは考えられます。執行猶予がつく可能性も否定できませんが」
当の宮崎容疑者本人は、被害者男性を殴打したのは“やり過ぎた”というものの、“危険な運転をしたつもりはない”などと供述しているという。
先の電話は、そんな男の知られざる一面であった。
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