U-18日本代表、「日の丸」自粛騒動を奥島孝康・前高野連会長はどう見たか

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 日本が輸出管理の優遇対象、いわゆる「ホワイト国」から韓国を除外すると、韓国はその報復として、GSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄を決定。日韓関係は今や戦後最悪の状態だ。

そんな折、8月30日に韓国で野球のU-18ワールドカップが開幕した。ところが、その直前、日本高校野球連盟(高野連)が「韓国入りする際に着用するポロシャツはJAPANや日の丸のないものにする」と言い出して、大きな物議を醸した。何故、こんなことになったのか。

「韓国の国民感情に配慮して、日本を前面に出すのはやめようと思っている。無地のポロシャツで行くと。準備はしておいた」

8月27日、高野連の竹中雅彦事務局長が報道陣にこう説明した。選手たちの安全を大義名分に、対応策を打ち出したというのだ。

 これまで日本代表チームは、試合のユニフォームだけでなく、移動で着用するポロシャツにも日の丸があしらわれていたが、白い無地のポロシャツなんて、前例がない。27日の夜に報道各社がそのことを相次いで報じると、SNS上で高野連に抗議が殺到した。

 登山家の野口健氏は、ツイッターでこう高野連を批判した。

〈「日の丸を隠さないと日本代表選手を守れない」というのならばそんな危険なところに行くべきではない。日本代表が日の丸を隠してまで。日韓関係に配慮って意味わからん。ならば韓国代表は韓国国旗をユニフォームから外す?片方だけが外すという事が果たして未来志向なのか?〉

〈果たして「日の丸を隠す行為」が韓国に対し配慮している行為なのだろうか?韓国からすれば「日の丸をつけていれば日本代表選手に危害を加える」と日本サイドに思われている事自体が「侮辱されている」と捉えるだろう。また日本を代表し戦う日本選手にコソコソさせるのは極めて失礼。大人達、情けない!〉

 さらに事態を混乱させたのは、高野連のその後の対応である。

28日の昼前、日の丸なしのポロシャツについてスポーツ庁の担当者が高野連に事実確認の連絡を入れると、慌てた高野連の八田英二会長が韓国に帯同した竹中事務局長に、日の丸入りを指示。日の丸のロゴが入ったウエアを着用させたのである。

 柴山昌彦文部科学大臣は28日、自身のツイッターで、こう語っている。

〈ユニフォームには日の丸があり、日の丸のないポロシャツについても、以後替えて日の丸のある物にするとのことです〉

まさに“過剰反応”

 高野連の奥島孝康前会長は、一連の騒ぎをどう見ていたか。法学者である奥島前会長は、早稲田大学総長を務め、現在、白鴎大学学長、公益財団法人ボーイスカウト日本連盟理事長。高野連会長は2008年から15年まで務めた。

「おかしいですよ。日本の代表チームが日の丸をつけないなんて、びっくりしました。最初、僕は、試合中も日の丸をつけないのかと心配していたのです」

 と、呆れるばかりだ。

「日本人なのに、日本人を名乗らないようなものでしょう。日の丸なしのポロシャツで入国するなんて、今までに例がありません。日の丸が駄目というのであれば、日本の代表チームは韓国へ行くべきではありませんよ」

 竹中事務局長はどんな人物か。

「彼は、高校の教員をずっとやってらして、それから高野連に入ったのですが、人柄は立派な方です。今回のことは、考え過ぎたのでしょうね。過剰反応、まさにそれですよ。出入国の際に日の丸なしのシャツを着用ということですが、一言でいえば、それは無国籍で入国するようなものですよ。何を考えているんだろうなと思いました」

 スポーツ庁からの連絡で、一転、日の丸入りのポロシャツにしたことについては、

「これもおかしい。日の丸なしは、会議で決めた事なんでしょうが、簡単に覆すなんてね。何をしてるんだと言いたい。日本の代表チームなんだから、堂々と日の丸をつけて、バシッと行って欲しかったです」

 日本代表チームが、試合会場である機張現代車ドリームボールパーク(釜山)で練習を行った際、韓国の警察官が選手たちの警備にあたった。代表チームがバスで移動する際も、パトカーが先導、球場入りするときは、4台のパトカーが出動する物々しさである。大会の主催者であるWBSC(世界野球ソフトボール連盟)が韓国側に日本代表チームの警備を要請したという。スポーツに政治の話を持ち込むと話がややこしくなるだけである。

週刊新潮WEB取材班

2019年9月3日掲載

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