小泉進次郎は本当に「総理の器」か? 先輩代議士や政治部記者らが一刀両断
本当に「総理の器」か
そんな進次郎氏の人気といえば、この1年ほどは「踊り場」を迎えていた感があったという。
「批判されることが多かったのです。“平成のうちに”と見得を切った国会改革は前進が乏しく、総裁選でも石破元幹事長に一票を入れたものの、それを最後まで言わないというどっちつかずの態度を示した。存在感の薄さから小泉シンキロウと揶揄するメディアもありました」(全国紙の政治部記者)
が、今回の電撃婚のインパクトはそれを完全に払拭。9月に予定される内閣改造でも入閣が取りざたされる筆頭、との報道が相次ぎ、再び政界の華となった。結婚報道でも押しなべて「総理候補」との文字が躍ったし、実際、
「実務経験はかなり積んでいる。単なるお飾りの大臣より、よほど経験豊富ですよ」(政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏)
「あの発信力、オーラ、メッセージ性は元総理の息子というだけに留まらない。抜群のものがある」(政治評論家の有馬晴海氏)
と業界のプロも高評価。将来の「総理就任」は既定路線のような感すらあるが、
「ただ、一歩退いて考えてみると、これだけメディアに露出し、人気抜群でありながら、実績と言われるとよくわからない感はありますね」
と疑問を呈するのは、前出の常井健一氏である。
確かにそうで、これまで進次郎氏が主に取り組んできたテーマと言えば、「復興」「地方創生」「農業改革」「こども保険」「国会改革」といったところだろうか。このうち、「復興」「地方創生」といった大枠のテーマはともかくとして、「こども保険」は、政府が消費税を財源に幼保無償化を決めてしまったため、雲散霧消。
「農業改革は全農に譲歩する形で一部を妥協してしまった。国会改革も最初は“行政監視機能の強化”がテーマでしたが、だんだんと“国会のペーパーレス化”“妊娠中の女性議員の代理採決”といった細かいテーマになってしまい、ほとんど進まなかった」(同)
掛け声とは裏腹に、腰砕け感は否めないのだ。
「確かに人気と話題性はある。それは大きな武器ですが……」
と言葉を継ぐのは、政治アナリストの伊藤惇夫氏。
「主義主張となるとどうか。大衆受けしそうな細かい政策には飛びついている印象がありますが、国を二分しそうな外交、安保、経済政策といった大テーマについては口を濁している感がありますね」
として以下のように譬える。
「サーファーのようですよね。最終的に自分がどこへ向かっているかなどを考えずに、ただ波の上でかっこよくポーズを決めることにばかり終始している。自らを一艘の船と見立てて、しっかりした航路を見出すことがまだ出来ていない。それが今後の課題でしょう」
美と知を兼ね備えたかに見える伴侶を得たことが、これからどう出るか。称揚の対象か、はたまた嫉妬の渦となるのか。
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