美しすぎる「ビロディド」が世界選手権で優勝 彼女のレジェンドは田村亮子
「美しすぎる」ウクライナの柔道代表、ダリア・ビロディド(18)が、8月に日本武道館で行われた世界選手権初日(25日)の女子最軽量48キロ級で実力を発揮し2連覇した。
決勝の相手は日本期待の渡名喜風南(24)。ビロディド172センチに対し渡名喜は148センチと、なんと身長差24センチ。上から覆いかぶさるように長い腕で肩越しに柔道着を掴んでくるビロディドを、渡名喜は巧みにさばいていたが残り1分39秒、一瞬の隙に払い腰で技ありを奪われた。その後ビロディドは、渡名喜の必死の反撃に後ずさりし、指導を2度取られていたが逃げ切った。苦戦だったのだろう。勝った瞬間、激しく泣き、会見で「彼女(渡名喜)は強くて難しい相手でした。勝てて自信になった」と話した。
一方の渡名喜は「悔しい、の一言。冷静に前に出られたけど、投げられたので負けは負け」と悔し涙にくれた。渡名喜とビロディドは世界選手権の舞台では二年連続決勝で激突している。昨年はあっという間に渡名喜が敗北していただけに進歩はみせた。
アナコンダ
さて、このビロディド。圧巻だったのが準決勝だ。モンゴルの元世界王者、U・ムンフバットを相手に激戦になった。ムンフバットは寝技のスぺシャリスト。この日も、決勝までのすべてを間接技や抑え込みで勝ち上がっていた。それがビロディドは寝技の攻防から最後は自らは腹ばいになり、腰から下で仰向けになった寝業師を足で押さえ込んでしまったのだ。その瞬間、満員の武道館が「おおーっ」とどよめいた。めったに見ない決まり技に筆者は技の名前を知ろうと会場を走ったが、かつての全日本選手権覇者(名は伏せる)も元女子日本代表も「見たことない押さえ方。すみません。わかりません」。結局、記録を見ると「崩れ上四方固め」となっていた。ふつうは腕で決めるのを足で決めていたといったところだ。
立ち技では大内刈り、内股などスピードのある抜群の切れを見せるビロディドは寝技も強い。長い足を使った強烈な三角締めが武器だ。だが48キロ以下で172センチ。「普通はあそこまでスマートだと筋力が落ちるはずだがスーパーモデルのような細身の彼女のどこにそんなパワーがあるのか」(全国紙のベテランの柔道記者)。
三角締めはうつ伏せになった相手の首元に足をねじ込み、腕で相手の襟をつかんで首を締め上げてゆく。押さえ込みや十字間接にも変化できる。本人は「アナコンダって言われているの」と笑う。
しなやかなブロンドに碧眼、9頭身のスタイルの良さからモデル業もこなし、鍛えた腹筋が見える水着姿も。今や注目のアスリートだが海外の美人柔道家と言えば、まだ女子柔道は五輪の正式種目ではなかった80年代ごろ、無差別や72キロ級で世界王者5度制し、田辺陽子(世界選手権5度メダル。現日本大学准教授)と熱戦を演じていた、ベルギーのイングリッド・ベルグマンス(58)を思い出すが、小柄民族の日本男子としてはビロディドの方が「胸キュン」か。
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