深海魚の胃袋からプラスチックごみ……「海の手配師」が語る、海洋汚染の現実

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「海の手配師」が深海魚にハマったワケ

――石垣さんが深海魚にハマったきっかけってなんでしょう?

石垣:んー、なんでしょう。水族館を専門にしてるサプライヤーって世界に6人くらいしかいないんですけど、みんな何か特化したものがあるんですね。コレのことならこのひとだっていう専門分野が。自分にもそういうのがないかなーと思ってた時、テレビ番組の仕事でメンダコとダイオウグソクムシを取り扱ったら、それがものすごく反響があったんですね。

 もとは深海魚って標本で納めるのが当たり前だと思ってたんですよ。生きて地上に上げるのが難しいし。でも、生きた個体を見せてこんなに喜んでもらえるなら、ノウハウを整備してやったらいけるんじゃないかって思ったのが、きっかけといえばきっかけですね。

 あと、ぼくやっぱり海にいる生き物が好きなんですよ。貝でもエビでも。川はあんまり興味ないんですけど(笑)。海のそばで育ったからかな。子どもの頃から海にいる生き物をたくさん見てきて、カサゴならカサゴ、イカならイカの、棲んでる場所の浅い深いで違いがあるのを見て、楽しんでるんだと思う。ずっと好きなことを追いかけてるだけですね。それをしながら、まあ、会社が潰れなきゃいいかなって(笑)。

――宇宙よりも研究が進んでいないとも言われてますし、未知の部分が多い分野ですから、新しい発見もきっと多いのでは?

石垣:相当ありますね。お金も時間もかかるけど、新しく分かることがいっぱいあるんで、ものすごく面白いです。はじめは同業者からも理解してもらえませんでしたけど、地道に研究や発表を続けることで、深海魚の展示をしたいとか教えてほしいとも言われるようになってきました。だいぶ認められてきましたね。

 あと宇宙といえば、以前、宇宙飛行士の毛利衛さんに会った時に言われたんですよ。「石垣さん、いいね、深海は。だって生き物がいるんだもん」って(笑)。

――まだ宇宙人は見つかってないですからね(笑)。

石垣:宇宙と深海って分からないことが多いって点で共通点が多いけど、生き物のバリエーションが豊富なことは深海の面白さのひとつだから。

 ぼくは深海の地形とか鉱物にはあんまり興味がないんですよ。生き物がいなかったら、多分ここまでハマらなかった。ここでこんな酵素が見つかりましたって言われても、ぼくにはピンとこない。でも過酷な地形や環境の中に暮らしてるスケーリーフットみたいな奇妙な生き物がいましたと言われると、なんだ、お前は!?とワクワクするんですね。

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