「北村一輝」が準主役の反日映画が大ヒット ソウルで鑑賞した本誌記者の感想は

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打倒「バトル・オーシャン」

 公開4日で観客動員100万人を記録し、9日目の8月15日、韓国でいう光復節には300万人を突破した。

 その翌日、ソウルでこの映画を観た本紙記者が言う。

「ソウルの繁華街・明洞(ミョンドン)の映画館で見ました。午後2時頃でしたが、およそ200席のうち埋まっているのは半分くらいでしたね」

 意外にも満席ではなかったという。

「15日は国民の祝日でしたが、16日は平日だったということもあるかもしれません。ただ、一時の勢いは落ちている気がしますね。24日現在で、累積動員数は441万人だそうです。韓国では、豊臣秀吉が朝鮮に攻め入った慶長の役を描いた『バトル・オーシャン 海上決戦』(2014年公開:キム・ハンミン監督)があります。これが1700万人を動員して、反日映画の金字塔として有名です。ただ、この映画で日本人を演じているのは韓国人でした。今回、『鳳梧洞戦闘』は、三・一運動100周年の今年、『バトル・オーシャン』を超えようと作られました。よりリアリティを出すために、日本兵の配役には北村一輝や池内博之(42)といったメジャーな日本人俳優に声をかけたのでしょう」(同)

 気になるのは、日本人俳優の役どころだが、

「話はとにかく単純で、“日本は悪で韓国は正しい”という構図です。北村が演じている安川二郎少佐は、冷酷無比な殺人マシーンです。登場シーンもおどろおどろしい。駐屯地で池内演じる部下の草薙中尉から、独立軍の動きを報告されるのですが、なぜか生きている虎をナイフで突きながら聞いているんです。その報告が気に入らず、虎の首をナイフで突き刺し、返り血を浴びながらこう命じるのです。『帝国軍がたかがキツネ狩り如きで! 狩りの準備をしろ! 今度こそ皆殺しにしてやる!』と」

 映画『テルマエ・ロマエ』で、北村が演じた古代ローマの次期皇帝候補ケイオニウスが口にしそうなセリフだ。北村少佐は、韓国軍ばかりでなく、同じ日本人に対しても容赦がなかったという。

「作戦に失敗した日本人将校に対し、『銃はどっちの手で撃つ?』と問い、『右手です』と答えると、すかさず軍刀を引き抜き、将校の左手人差し指を切り落とします。そして『血が乾く前に、(独立軍の連中を)連れてこい!』と命じるのです」

 軍律の厳しかった日本軍で、こんなことを行えば軍法会議ものだろう。

「日本軍ももちろんひどく描かれています。独立軍を追って村を急襲するシーンでは、笑みを浮かべた日本兵が、無防備な老人、子供、女性を銃で撃ち、刀で斬り、なぶり殺しにしていきます。レイプされる女性もいますし、殺された子供を抱いて泣く母親を見て、笑い転げる日本兵も描かれます」

 そこに出てくるのが“正義”の独立軍である。

「いかにも韓国映画的ですが、それまでドンパチやっていた独立軍が最後に北村や池内を追い詰めた時には、刀での斬り合いとなるんです。主人公は北村にこう叫びます。『戦争遊びはもうやめて帰れ!』と捨て台詞を吐いて去って行く」

 韓国人はスカッとするだろう。日本人だって、こんな日本軍はイヤだもの。

「アクション活劇なら構わないのですが、困ったことにエンドロールで、独立軍が発行していたという『独立新聞』がクローズアップされるのです。この物語は史実がベースである、と……まあ、韓国人が日本兵を描けば、こうなるのは仕方がないかもしれませんが、それにしてもこの映画は酷い。私も正直言って不愉快でしたね」

 劇場からは、「歴史を忘れた民族に明日はない」と呟いて出て行く韓国人もいたという。

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