香港と三角コーン、日本も無関係ではない(KAZUYA)
逃亡犯条例の改正を巡って燃え上がった香港の民衆。6月以降毎週デモ活動が行われ、今も収束する気配がありません。むしろ民衆と警察の争いは過激化しており、けが人や逮捕は日常茶飯事です。
一国二制度の香港では、中国本土と比べると、まだ自由があります。しかし条例の改正によって、一国二制度は名ばかりになってしまうのではないかという懸念が香港の民衆にあります。一方で親中的な民衆もいますから、状況はとても複雑です。
そんな香港へ8月3日から6日まで行ってきました。
到着の空港からホテルまでは実にスムーズな道のりで、報道されているような現場は想像できません。しかし3日にデモが行われているとSNSで情報を得て、現場に向かってみると、駅を出てすぐおびただしい人数のデモ隊に遭遇しました。
日本でデモ活動といえば、青春の学生運動を忘れられない老人達による同窓会と化していますが、香港は全く違います。まず若い。圧倒的な若さです。10代後半から30代と思われる人々で溢れています。ある程度の高齢者は沿道からエールを送るという感じでした。
デモは昼過ぎから始まって深夜に及びます。警察署前にデモ隊が押し寄せ、レーザーポインターを向けています。どうやら顔認証で後日逮捕されないための方策とのこと。デモは明確なカリスマ的指導者が率いているわけでなく、SNSを通じてデモの場所や行動などを投票で決めるという話も聞きました。現代的であると同時に、香港当局も潰しにくい体制です。
リーダーが率いているなら、その人物を潰せばデモは収束します。しかし今回はそれがないから強いとも言えるでしょう。
デモ隊は警察の催涙弾を警戒して装備も充実しています。ヘルメットは当然として、ガスマスクを装着している人も多数見かけました。さらに三角コーンを持っている人がいて「なんだろう?」と疑問に思っていましたが、催涙弾にかぶせて拡散を防ぎ、水をかけて無効化するためでした。5日は香港全土でストライキとデモ活動があり、俯瞰できる場所から見ると、警察が催涙弾を放った途端、三角コーンを持っている人が駆け寄り、すぐに無効化する様子が確認できました。なんて勇敢な……。
一部警察署への投石など過激な行動に出ているデモ隊ですが、安易に「香港の人は危険だ」と考えるのは問題です。流石に天安門事件の再来を恐れて、中国共産党も人民解放軍を投入する可能性は低い(ゼロではない)と思われますが、デモが危険だとアピールするために、デモ隊の内部に危険な行動をする人物を忍び込ませる可能性も考えられます。介入の口実作りをしているのではないかというわけです。
香港の次は台湾、その次は……。日本も無関係ではないのです。
個人的な感想としては、デモ活動を行う地域に近づかなければ至って平穏だったという印象です。しかし14日に外務省は香港への渡航について、「十分注意してください」というレベル1の危険情報を出しています。もし渡航される予定がある場合は十分お気をつけください。