富士急行「高速バス運転手」の“居眠り動画” 撮影した乗客は会社の対応にも不満……

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過去には死亡事故も

 デイリー新潮は8月29日までに、富士急行のバス運転手がハンドルを握りながら、何度も居眠りをしていた動画を入手した。富士急行側は「適切ではない運転だったが、運転手は居眠りしていなかった」と説明している。

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 公共交通機関の運転手が、勤務中に居眠り――我々乗客にとって、極めて恐ろしいシチュエーションであることは論を俟たない。

 例えばJR東日本千葉支社は8月14日、20代の男性運転手が7月、JR外房線で普通電車の乗務中に居眠りをしていたと発表した。

 運転中にうとうとする様子を乗客が動画に撮影し、ツイッターに投稿して発覚した。多くのテレビ局がニュースで動画を流したため、ご覧になった方も多いだろう。

 バスの場合は古い話になるが、2012年の「関越自動車道高速バス居眠り運転事故」が記憶に残る。

 事故を起こした「ツアーバス」はJR金沢駅を出発し、新宿駅や東京ディズニーランドを目指していた。そして4月29日の早朝、群馬県藤岡市の関越自動車道上り線・藤岡ジャンクション付近で防音壁に衝突。バスは大破して7人が死亡し、14人が重体や重傷、25人が軽傷という大惨事となった。

 群馬県警は当時43歳の運転手を逮捕。中国残留孤児の子弟で、1994年に日本国籍を取得したが、日本語の能力は高くなく、逮捕後も通訳を必要としたという。

 14年に前橋地裁は、運転手に対して自動車運転過失致死などの罪で懲役9年6か月と罰金200万円の有罪判決を言い渡した――これが事故のあらましだ。

 冒頭で説明した通り、この記事で我々は入手した動画を掲載している。運転手の“船漕ぎ”がどれほど激しいか、ぜひお確かめいただきたい。

 動画が撮影されたのは7月26日。午前11時35分に山梨県の河口湖バス停を出発、富士急ハイランドなど数カ所のバス停を経由し、終点は渋谷マークシティだった。

 30代の自営業男性が、スマートフォンで撮影を行った。一体、高速バスの車内で何が起きてきたのか、最初から振り返ってもらった。

「別荘が河口湖にあり、都内の自宅へ帰るためにバスに乗りました。月に2、3回は富士急行の高速バスを利用しています。始発の河口湖で、ほとんど満席でした。私の席は、たまたま運転手さんの真後ろでした」

 出発する直前、運転手は「うわっ」と悲鳴を上げた。「足がつった」と呟き、「痛たたたたた」と苦しんでいたという。男性は「大丈夫か」と不安を感じた。

 他の乗客は大半が中国人観光客。日本語が分からないこともあったのか、運転手の悲鳴には全く関心を示していなかった。スマホに夢中になっている観光客も少なくなかったという。

「バスは最初、一般道を走っていました。私は持参していた本を読んでいたのですが、ふと『どこを走っているのだろう』と視線を前に向けました。すると東名高速を走っていることに気づき、ほぼ同時に、運転手さんの頭が上下にがくがく揺れている光景も目に飛び込んできたのです」

 あまりに頭が上下動するため、自営業の男性は最初、病気を疑った。だが運転手は、眠気を覚ます効果が期待できるからか、菓子の「ミンティア」や水を口にしたり、自分で自分の頬を叩いたりした。そのため居眠り運転を確信したという。

「後ろから声をかけ、目を覚ましてもらおうかとも考えました。ただ、あまりに意識が朦朧としているようなので、私が声をかけたことで、運転手さんがハンドルを大きく右や左に切ってしまわないか不安になりました」

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