巨人の優勝マジック「20」はあってないようなもの 【柴田勲のセブンアイズ】
私、前回の今コラムで巨人の優勝の行方について「まだ一山あるかもしれない」と記した。23日からのDeNA3連戦の結果次第と踏んでいたからで、この通りになってきた。優勝マジック「20」を点灯させたものの、6カードぶりに負け越して、DeNAとのゲーム差は「6」だ。連勝すれば連敗、またはその逆に転ぶ。今季のセ・リーグの異常な傾向だ。ゲーム差「6」と言われても、実感するのは「3」くらいだ。巨人ファンには冷や汗もので、野球ファンにすれば面白くなってきた。こう思わせる3連戦の結果だった。
優勝マジック「20」だが、40数試合残してではない。巨人の残り試合は27。あって、ないようなものだ。2位・DeNA、3位・広島との残り試合はそれぞれ6と5だ。おまけに両チームには負け越している。(注1)。勝てば突き放せるが、負ければ追い上げられる。残り試合の多さは紙一重だ。
不気味なのはDeNAだ。緒戦を東克樹でやられた。2戦目は石川慎吾の代打サヨナラ弾でなんとか勝利をものにした。まあ、劇的勝利なんて言われているけど、本来、3点差を守ってキッチリと逃げ切る必要があった。
それでも粘って勝ったのだから、その勢いで勝ち越したかったものの、3戦目はエース・今永昇太から強力救援陣に封じられた。
アレックス・ラミレス監督にすれば手応え十分だろう。巨人に優勝されてもクライマックス・シリーズで対戦する可能性がある。東、今永、そして2戦目の石田健太、この3枚の左腕をどう起用していくか。いまから考えているに違いない。
それにしても巨人にとって、丸佳浩の存在は実に大きい。こう思うのも勝負所で昨オフ、獲得した補強メンバーの姿がベンチにないからだ。大砲候補だったクリスチャン・ビヤヌエバ、抑え候補として期待されたライアン・クック、オリックスから移籍の中島宏之、そして岩隈久志らだ。巨人は補強費として40~50億円使ったなんて話がある。そんな中、丸以外で評価できるのはケガで離脱中の炭谷銀仁朗くらいだ。丸以外は全滅と言っていい。
その丸だが、期待通りにシーズンを通して安定した成績を残している。(注2)なによりバットスイングが安定しており、自分の打撃スタイルを堅持している。間違っても岡本和真のように下からバットが出て、アッパーにならない。
スランプらしいスランプもなかった。「オヤッ」と思うのはボール球を振った時くらいで、安心して見ていられる。
広島で3連覇を経験している優勝請負人の言葉がピッタリくる。27日からはその丸が抜けた広島と東京ドームで3連戦だ。
現在、巨人とのゲーム差は「6・5」、厳しい状況だが、チーム一丸、必死でぶつかってくる。
巨人、この3連戦、波乱を呼ばないためになんとしてでも勝ち越す必要がある。
注1 DeNAに9勝10敗、広島には7勝12敗1分
注2 打率・3024、22本塁打、67打点、出塁率・396(26日現在)