運転中「宮崎容疑者」に遭遇したら… 「あおり運転」事件に学ぶ正しい対処法

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その時、何をすべきか

 あおり運転に対しては、窓を開けない、が鉄則である。常磐道で被害を受けた青年の親族によると、

「何を言っているのかわからなかったから、それを聞こうとして窓を開けてしまったみたい」

 ひどく動転している中、状況を把握しようとするのはやむを得ないところがある。それでも、

「相手が車外に出てきても、絶対に窓を開けてはいけません。また、無理に逃げようとしてもいけない。『サービスエリアに逃げろ』と言う人もいますが、車線が少ない場所ではそこまで逃げられないし、無理に隙間を縫って行こうとすれば、接触してしまうこともある。止まるしかない時は止まる。そして110番し、自分と相手のナンバーと場所を伝える。スピーカーモードにして現場の音が聞えるようにするとなおいい」

 と先の小川氏。一般道を走っている場合は、監視カメラのあるコンビニの駐車場に逃げるのも手だという。

「また証拠となる映像があったほうがいい。スマホでの撮影は相手を興奮させる恐れがあるので、車の前後にはドライブレコーダーを付けておきたい」(同)

 モータージャーナリストの森口将之氏も同様に、

「いまは1台で360度撮影できる高性能なドライブレコーダーがある。なるべくスペックの高いものを付けるのをお勧めする」

 さて、これから事件はどのような決着を迎えるのか。

「逮捕容疑の傷害罪は15年以下の懲役または50万円以下の罰金刑ですが、被害男性の怪我はそれほど酷くなく、全治1~2週間程度と推測されます。そのため通常であれば罰金刑で済む。ただそれだと国民感情にそぐわない。検察は社会的影響なども考慮して実刑判決に持っていこうとする」

 こう語るのは、元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝氏だ。傷害罪に合わせて、ディーラーに車を返却しなかった横領罪、暴行の際に「殺すぞ」と恫喝した脅迫罪、「降りて来い」と脅した強要未遂罪、そしてあおり運転は暴行罪などに問われる可能性があるという。

 あおり運転に同乗し撮影していた喜本奈津子容疑者(51)は犯人蔵匿隠避罪で逮捕されたが、

「彼女の行為は『現場助勢罪』にも該当します。彼女も罰したほうが犯罪抑止になる」(小川氏)

 ただ、どちらもちょっとやそっとでは更生しそうにない。厳罰は当然だが、天罰が当るのを望みたいくらいである。

週刊新潮 2019年8月29日号掲載

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