運転中「宮崎容疑者」に遭遇したら… 「あおり運転」事件に学ぶ正しい対処法
日本中から逮捕が待たれていた、と言っても過言ではあるまい。台風が通り過ぎたお盆休みの最終日、「もっとも関わり合いになりたくない男」がようやく捕まった。だがこれは氷山の一角だろう。もしあなたがあおり運転に遭遇したら――その時の心得とは?
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今月18日に逮捕された時も、「触んな」「これから自分は出頭するんだ」と騒ぎ、大立ち回りを演じた宮崎文夫容疑者、43歳。愛知、静岡、茨城であおり運転を繰り返しながら、20日間で2千キロ走ったというから、帰省の行き帰り、多くの人が出くわす危険があったのだ。
繰り返しメディアで流された茨城の映像は、恫喝といい、暴力といい、またその服装も、絵に描いたようなイカれた乱暴者である。いったいどんな半生を送ればこんな人間になるのか。
宮崎容疑者は大阪市出身、幼い頃は生野区で育ったという。
「母親の実家は税理士事務所です。そこへ父親が婿養子で入った」
そう語るのは、実家近所の住民である。
「両親ともに変わり者で、特に母親は自宅前を掃除しても、ゴミを向かいの家に掃いてすますような人。近隣住民は誰も相手にしないような一家だった」
親からして迷惑な人だったということか。当時、宮崎容疑者は友達がいないのか、自宅前でよく一人で遊んでいたという。もっとも頭はよかったようで、やがて名門・天王寺高校に入学する。東大京大へ多数合格者を出す大阪屈指の進学校である。
大学は関西学院大学総合政策学部。高校に比べるとだいぶ見劣りがするが、同大の中ではレベルは高い。
そして本人のSNSによれば、高給で知られる精密機械メーカー「キーエンス」に就職。そこは半年で辞め、「ウィルウェイ馬渕教育グループ」という塾で高校受験の英語講師になった。
そんな宮崎容疑者に転機が訪れるのは2003年。あるウェブマガジンの経営者インタビューでこう語っている。
「私は祖父が所有していたマンションを受け継ぎ、2003年から個人事業主として自社物件を含めた不動産の管理・取り引きや賃貸業を始めました」
確かにその年、親族が亡くなり、彼は約600平方メートルの敷地に建つ7階建てのマンションの一部を姉とともに相続している。そして18年2月に法人化。同年8月にはグループ会社も設立し、
「経営などのあらゆるご相談や、困りごとにお応えするコンサルティング業務を手がけています」(同)
いっぱしの実業家になったつもりだが、その実態は、はなはだ怪しかった。
「マンション管理会社の人は、彼は働いていない、プータローだと言っていた」
と語るのは、同マンションの住人だ。
「もともとここは母親がオーナーで、彼と一緒に暮らしていた。母親は数年前に老人ホームに入った末に亡くなり、彼が相続。それから様子がおかしくなった気がする。まず管理会社が頻繁に変わるようになった。それから部屋に女性が出入りするようになり、ここ2、3年は『オラ』と怒声が聞こえたり、女性の『ギャー』とか『助けて』という声が聞こえたりしていた」
10年ほど前になるが、女性の監禁事件もあった。
「消防のクレーン車がきて彼の住む7階の窓ガラスを割って入ったと聞いた」
今年に入っては、またもやマンション管理会社を変え、駐輪場を一方的に自身の駐車場にした。6月には自身の運転するポルシェ・カイエンが事故に遭ったと自身のインスタグラムに投稿している。そして7月8月に今回の事件である。
「普段はあれほどおかしくはない。クスリでもやっているのではと思った」(同)
元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が言う。
「静岡県で被害にあった方によれば、宮崎容疑者のBMWは前を走る他の複数の車に対しても割り込みや幅寄せをしていたそうです。つまり宮崎容疑者は最初からあおり運転を行う意図があった。ゲーム感覚でやっていたのでしょう。実は、今の道路交通法には、あおり運転を違反とする明確な規定がない。警察は動画を見せられても、法律違反と断定することが難しいのです。そうした中、彼は『このくらいなら何も言われない』という認識があったかもしれない」
今回は傷害も加わったからこそ、警察が動けたという面があるわけだ。車の窓を開け殴られたことが警察を動かしたのは皮肉と言うしかない。
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