全ては10月開始「ドクターX」のため!? テレ朝「開局60周年企画」で異例の再放送

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4本のドラマに業界人は注目

 テレビ朝日の「開局60周年」を記念する番組と聞けば、どんな内容を想像されるだろうか? 豪華なゲストが一堂に会し、テレ朝の思い出を語り合うバラエティ番組、あるいは、多額の予算が投下され、娯楽性も質も高いスペシャルドラマ――そんなところだろう。

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 しかしテレビ朝日では、その60周年企画の一部に対し、「通常では、ありえないことをやっている」との声が上がっているという。

 具体的には、日曜の午後9時から放送されている「日曜プライム」のラインナップに疑問が投げかけられているのだ。

 この枠は以前、映画評論家の淀川長治(1909〜1998)が解説を務めた、「日曜洋画劇場」が人気を博していた。テレビ界を代表する長寿番組として、今もご記憶の方も少なくないだろう。

「日曜洋画劇場」は66年10月にスタートした。最初の半年は土曜に放送され、番組名も「土曜洋画劇場」だった。

 しかし淀川の死後、枠の存在感は低下した。「洋画劇場」としての方向性は辛うじて残されたものの、リニューアルが頻繁に行われた。一時期はバラエティ枠になるような印象を与えた時期もあったが、2018年から「日曜プライム」という番組名になった。「日曜洋画劇場」の伝統を引き継ぐ映画の地上波放送だけでなく、ドラマやバラエティのSP版なども放送している。

 この「日曜プライム」は8月から「テレビ朝日開局60周年 夏の傑作選」と銘打ち、4本の2時間ドラマを“特集放送”している。そのラインナップが疑問視されている理由は、4本の全てが再放送だからだ。まず、そのドラマを表でご紹介しよう。

 テレ朝も、再放送であることを隠しているわけではない。8月4日に放送された「点と線」の公式サイトを見ると、「開局60周年&令和最初の夏…平成のドラマ史を彩った、《珠玉のドラマスペシャル》4本を一挙放送!!」と紹介している。

 テレ朝に異議を唱える記事も、既に報じられている。NEWSポストセブンは8月11日、「テレ朝、日曜夜の看板枠 60周年企画なぜドラマ再放送ばかり」の記事を掲載した。コラムニストでテレビ解説者である木村隆志氏の署名原稿だ。

 この記事で木村氏は、4本のドラマが再放送されることを、《これらは「テレビ朝日開局60周年記念」の番組であり、日曜夜という在宅率の高い時間帯を踏まえると、異例のラインナップと言えます》と指摘する。

 4本は全て名作ぞろいであり、放送当時は視聴率15%(註:ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)を獲得した実績もある。木村氏は《再放送でも高視聴率が獲れる》とテレ朝が判断した可能性を示唆しながら、《どんな名作だとしても、通常なら再放送ではなく、リメイクするのがセオリーであり民放としての矜持》と釘を指した。

 なぜ、このような“変化球”をテレ朝は投げたのか、木村氏は《再放送は当然ながら予算削減につながりますし、もともと夏は在宅率が低く視聴率が上がりにくいことも、今回の消極策につながっているのでしょう》と推測した。

 しかし、テレ朝のライバル局でドラマ制作に携わる関係者は、「実はテレ朝さんには、切羽詰まった理由があるんです」と明かす。

「私も偶然、8月4日の『点と線』を見ていまして、“どこかで見たことがある気がするのはどうしてだろう?”と首をひねりました。そして調べてみると、当時は11月24日と25日の2夜に渡って放送されたドラマを、1本に再編集したものだと分かりました。翌週に放送された『刑事一代』も再放送であり、やはり2本を1本にまとめたもので、全く同じ手法だったんです。いやあ、びっくりしました」

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