「カサンドラ妻」が高確率で「DV被害者」であるという現実

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ハネムーン期の有無が見極めのポイント

 すると滝口先生は、発達障害が問題のベースにあるときのDVと、一般的に言われるDVとは区別ができるとサラッとおっしゃった。

「従来のDVの概念では暴力はコミュニケーションの役割を果たします。DVでは暴力を振るった後に、加害者が被害者に普段より優しく接するハネムーン期がやってくるとされている。『暴力を振るうほど辛かった俺の気持ちをわかってくれ』というやつね、これはコミュニケーションです。

 でも発達障害がベースにある場合は全然違う。

 そもそも暴力を振るうこと自体があまり多くないけれど、暴力を振るったとしてもパニック状態での暴力であるというのが特徴。だからハネムーン期などもないんです。

 暴力は、闘争か逃走かもしくはフリーズ(死んだふり)かといわれる、非常にプリミティブ(原始的)な反応のうちのひとつとして現れます。『もう耐えられない』というようなときのパニック反応なので、違いがある。

 ASDの人は非常に純粋なところがあり、外からの刺激への反応として問題行動を起こしている場合があるから、一般的なDVと同じように対処しようとしてもうまくいかない」(滝口先生)

 問題行動としては暴力より暴言が目立つという。

「論理性があり、言葉で相手を責めるときの攻撃力が高いので深刻なモラハラになりかねません」

 DVと捉えるべきケースもたくさんあるという。

「発達障害が問題のベースにあり、問題行動がDVにまで発展するタイプの人はADHDの特性が影響している場合があります」

 ASDにADHDの衝動性が加わると攻撃性が増すため、ハラスメントやDVに発展するリスクが高まるのだ。

 発達障害のひとつであるADHDとは、注意欠如・多動性障害のこと。脳の神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンの働きが不足していることが原因と考えられており、そのため脳内報酬系と呼ばれるドーパミン等を巡る反応が注意欠如や多動の症状として現れるといわれる。

「ADHDは報酬系の賦活が弱いので、高報酬の強い刺激でなければ反応しない、言い換えれば低い報酬ではあまり反応しないので行動の動機付けになりにくいためです」

 そしてやりたいと思ったら即行動する、動き続ける、これらの特徴は強みにもなるが、衝動的で中毒性の刺激に弱いとも言い換えられ、依存症との関連も指摘されている。我が家のケースはまさにこれだったのだろう。

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