スマホアプリに受け継がれ今も増え続ける「出会い系サイト事件」 17年前、塩釜港で発見された女子高生

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 援助交際、売春、詐欺、恐喝、そして殺人……犯罪の温床と言われた出会い系サイト。2002年(平成14年)8月、宮城県塩釜港に浮かんだ16歳女子高生の遺体も、きっかけは出会い系だった。この頃より同様の事件が増えたため規制法が施行された。ところがこの種の犯罪は減るどころか、スマホアプリに受け継がれ、今も増え続けている。(上條昌史 ノンフィクション・ライター)

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 白くなったマネキンのような女性の遺体が、海面にプカプカ浮いていた。2002年8月10日、宮城県塩釜港の埠頭。釣り人に発見されたその遺体は、全裸状態で、腰にコンクリートブロックを二つ結びつけられていた。
 
 遺体は腐乱しており、ひどい状態だった。殺害されたのは2週間ほど前と推測された。身元はすぐに判明した。栃木県立宇都宮高校通信制課程1年の今埜愛美さん(16)。
 
 愛美さんは7月中旬、叔母と暮らしていた宇都宮市内の家を出て、母親のいる仙台市内に戻っていたが、24日前後から行方がわからなくなっていた。
 
 遺体発見から7日後、死体遺棄容疑で塩釜市に住む一人の男性が逮捕された。元会社員の菅原幸司容疑者(当時30)である。仙台市と塩釜市とは、距離にして約15キロ。二人が出会ったきっかけは「出会い系サイト」だった。
 
 菅原容疑者は同年4月まで、塩釜市内にある中古車販売会社に勤務するセールスマンだった。「ふだんは無口で人付き合いも悪いのに、携帯メールを介した交際相手は少なくなかった」というのが、菅原に対する当時の周囲の見方である。
 
 菅原は地元の高校を卒業、運送会社など仕事を転々としていた。会社の同僚たちは、おとなしくて目立たない社員だったと印象を述べている。几帳面で、酒も飲まず、真面目な性格だったが、退職前になると無断欠勤が目立つなど、どこか壊れた印象があった。
 
 中古車販売会社を辞めた理由は、「胃潰瘍になって体調が悪い」というもの。会社を辞めてからは、アパートの家賃を滞納してまで、出会い系サイトやツーショットダイヤルを頻繁に利用するようになっていた。在職中、休日出勤にかこつけて、社内で女性社員の下着を盗んでいたとか、会社の電話でダイヤルQ2を利用していたという噂もある。逮捕後、雑然とした菅原のアパートからは、女性の下着が大量に発見された。
 
 一方、殺された被害者の女子高生は、家庭がやや複雑だった。

「母親が2度離婚をしており、山形県に住む祖父母の家に、養女として引き取られていたんです。小学校から中学3年生の途中まで、祖父母の手で育てられていましたが、3年生の3学期に、不意に山形から姿を消した。行き先は、2度目の離婚をして仙台市内に住んでいた母親の所。しかしその母親とうまくいかず、中学卒業後に山形に戻ってコンビニ店員などをしていたのですが、4月から宇都宮市内の叔母のところに身を寄せ、通信制の高校に通っていた。しかし7月、その叔母の家も、『もう勉強はしたくない』と飛び出し、再び仙台市内に戻ると、友人たちの家を転々としていた。事件に巻き込まれたのは、ちょうどその頃だったんです」(地元記者)

 身長は170センチほど、すらっとしたスタイルで、中学時代はバレー部のエースとして活躍していたという。しかし仙台の中学に移ってからは、茶髪にするなど、生活が一変した。将来の夢は、歌手か美容師。だが17歳の誕生日の前に、将来を断たれてしまった。

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