日本一小さな村「青ヶ島」が外国人観光客に大人気 人口170人の島は大混乱…

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辺境マニア御用達からメジャーへ

 青ヶ島を訪れる外国人観光客が、必ずといっていいほど目にしている一枚の写真がある。5年前、米国の環境保護NGO「One Green Planet」が「死ぬまでに見るべき絶景13」として青ヶ島を取り上げた際の島の写真だ。メキシコのクリスタルの洞窟やオーストラリアのグレートバリアリーフ、ボリビアのウユニ湖と並んで、日本で唯一、紹介された場所が青ヶ島だった。現在の熱狂は、この写真がネット上に拡散してから始まったといえる。

「以前は辺境マニアぐらいしか来なかったのですが、外国人と若者の訪問者がドッと増えました」

 こう振り返るのは、株式会社青ヶ島製塩事業所の社長、山田アリサさんだ。青酎と並ぶ島の名産品が、山田さんの製塩所でつくられる「ひんぎゃの塩」。ネットで拡散された例の島の写真は、塩のラベルにも使われている。

 観光客のお土産の定番でもあるこの塩は、日本の海流の中で最も澄んでいると称される黒潮の海水から作られた絶品。遠くドバイから、ビジネスマンと思しき男性が工場を視察に来たこともあるという。週に1度は4時に起床し、女社長自らトローリーを運転して海へ。「さらわれたら一瞬で死んでしまうほどの高さの波」(山田さん)と戦いながら、海水をくみ上げてくる。地熱蒸気を利用し、数名の作業員と黙々と塩を炊き上げる姿は「男前」だ。

 その働きぶりを取材したいとドイツ、フランスから取材の申し込みがあったものの、悪天候のため上陸できず、ロケは中止となったという。やはり青ヶ島は甘くないのだ。

 最後に荒井さんから、外国人観光客へのメッセージを紹介しよう。

「外国人の中でも“力”のある者だけがこの島に辿り着けるのです。日本語は多少はできてほしい。それと最近は、ベジタリアンの方もいらっしゃいますが、田舎の宿なので対応するのは難しい。食事は何でも食べられる人でないと無理です。この辺を守っていただけて、島の文化、状況を理解してくれる人は、ぜひウエルカムです!人種、国籍を問わず交流したい。僕の『還住太鼓』を聞きに来てくれたら最高ですね」

 日本の方々へ補足すると――人手不足に悩む島は、移住者も歓迎している。役場のウエブサイトにも求人広告が掲載されている。観光旅行の場としては、アクティブ派に最適な楽園と言えるのではないだろうか。ただ村民は日々の生活に本気で忙しい。邪魔しないためにも、できることは自分でやろう。

瀬川牧子/ジャーナリスト

週刊新潮WEB取材班編集

2019年8月15日掲載

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