「愛子天皇」を潰したい安倍官邸の皇室戦略
令和の御代を迎え、将来的な皇族方の減少が不可避の宮中では「皇位継承の安定」が焦眉の急である。そこで取り沙汰されるのが「女性天皇」。巷では多くの賛同を得ているものの、安倍政権はそうした機運を潰すべく、旗幟を鮮明にした。愛子さまの行く末や、如何に。
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賛否の割れる事柄について問うた時、一方が8割を占めれば、それは大きな“うねり”と化しているに相違ない。一国の宰相ともなれば、そうした塊が時として脅威になり得ると、散々身に染みていることだろう。
昨今、各メディアが試みている世論調査では、「女性天皇」について“賛成”と答える人が軒並み約80%に達している。そんな中、7月27日付の「読売新聞」朝刊1面には、
〈皇位継承順位 維持へ〉
〈政府 秋にも議論着手〉
といった見出しが躍った。全国紙の政治部デスクが言う。
「2017年6月、天皇陛下(当時)のご退位を実現する『特例法』が成立しました。その付帯決議では『安定的な皇位継承を確保するための諸課題』『女性宮家の創設』などについて、すみやかに検討するよう政府に求めていたのです」
読売記事によれば、秋以降、有識者会議などを設置して議論を始めるというのだが、その前提として“現在の皇位継承順位は変更しない”との「方針」も記されている。
「読売の独自情報だっただけに、これを“リーク”した政権中枢の意向がうかがえます。記事が出た夕刻には、共同通信も『皇位継承検討へ有識者会議設置』との見出しで同様の内容を配信。これを受けた複数の地方紙が、28日の朝刊で大きく扱うことになりました」(同)
今上陛下まで126代にわたる歴史の中で「女性天皇」は8人10代在位したものの、母親のみが皇統に属する「女系天皇」は、これまで存在しない。が、将来的な皇族減少を見据え、小泉政権下の04年末には諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」が設置され、05年秋には女性天皇・女系天皇の容認と、皇位は第1子を優先するといった内容の「報告書」が作成された経緯がある。
すなわち、いったんは皇室典範改正への動きが整っていたわけだが、
「それも06年2月、紀子さまのご懐妊が明らかになったことで立ち消えとなりました。悠仁さまのご誕生で当面の“危機”は回避されましたが、先々の不安定要素は、なおも残されたままです」(同)
それでも、05年の有識者会議に官房長官として参加した安倍首相は「男系男子」の伝統が崩されることに一貫して批判的で、実際に寄稿した論文でも、
〈もし(紀子妃の)ご懐妊判明が数カ月後だったら、「女子にも皇位継承権を認め、継承順位は長子優先とする」という有識者会議の報告をもとにした法案が成立していた可能性がある(中略)皇室の歴史に取り返しのつかない変化を招いてしまった汚名は、後世けっして消えることはなかっただろう〉(「文藝春秋」12年2月号)
そう回想していたのだ。
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