山本太郎が政権をとったら「ヒトラーのようになりかねない」と識者が憂慮する理由

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わかりやすいのが心配

 N国についても触れておかなければなるまい。政治部記者は、

「立花代表は、一般に政党とみなされる党所属議員5人を満たすために、12人の国会議員に白羽の矢を立て、まず、北方領土をめぐる戦争発言で日本維新の会を除名された、丸山穂高代議士を入党させました。また、安倍総理と近い渡辺喜美参院議員と統一会派を組むことになって、実はN国が改憲勢力だということが明確になりました」

 NHKは、担当記者がユーチューバーである立花代表から逆取材を受けるに違いなく、だれを担当にするか喧々囂々だそうだが、別の角度からこんな危惧も。

「ワンイシューで選挙に勝ったN国ですが、この傾向が強まると、反朝日新聞を標榜する政党とか、犬の殺処分廃止だけを訴える政党とか、様々なワンイシューを唱える政党が乱立することにもなりかねません。そうなると、様々な問題について国会で合意形成するのも困難になります」(同)

 そうなれば、ひいては政党政治の否定にさえつながりかねない。今回の参院選で生まれた新しい芽は、所詮は衆愚の選択のたまものであるということか。

 評論家の大宅映子さんがいう。

「今回は政権を選ぶ選挙ではなく、責任を伴わないので、消費税をやめましょう、でも、社会保障は十分やります、という連立方程式としては成り立たないこともなんでも言えました。いまの若い人たちは単純だから、“そうだ、その通りだ”ってなるのでしょうが、そんなに世の中、単純じゃないと老婆心として思いますよ。私は、わかりやすすぎるのが逆に心配です。政治ってそんなに簡単な話ではありません。複雑な人間社会を理解したうえで、こちらを立てればあちらが立たないなかで考えた挙句、これは捨てなきゃいけないという苦渋の決断をし、これを選んでいこうというものをみなさんに提供する。それが政治でしょう」

 聞こえのいい言葉になびいているうちに、小さな芽は台風の目に育っていたらしい。それが、終いに本物の台風になってしまったら、もはや衆愚などと笑ってはいられない……。

週刊新潮 2019年8月8日号掲載

特集「衆院選に100人擁立をぶち上げた! 『山本太郎』を台風に育てる慄然『衆愚の選択』」より

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