「セブン」沖縄進出1か月 いよいよ始まるローソン、ファミマとの熾烈なコンビニ戦争

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セブンの進出にライバルは…

 さて、セブンの沖縄進出を、競合他社のローソンやファミリーマートはどう見ているのか。

 まずローソンに訊くと、

「これまで通り淡々と(業務を)進めていくのみだ」(広報室)

 と話す。かつて中内功氏率いるダイエーを親会社にして大阪にて創業された同社だが、近年は金城湯池だった関西にも、ライバルコンビニが進出。閉店を余儀なくされたり、ローソンからセブンに鞍替えする加盟店が続出するなど、本土では劣勢を強いられている。店舗数も、サークルKサンクスがファミリーマートに吸収された結果、業界3位の位置にいる。

 沖縄でも同様のことが予想されるだけに、

「何かいい案があれば教えてほしい」(同・広報室)

 と弱気な本音を覗かせるあたり、沖縄でのパイをかなりセブンに奪われるのではないかと戦々恐々としている印象を受けた。

 一方のファミリーマートはどうか。RIZAPやドン・キホーテと提携したり無暗な店舗数拡大を止めるなどの改革路線打ち出すほか、澤田貴司社長自らレジに入り加盟店との距離を縮めるなど、コンビニ業界では話題の存在だ。沖縄では、セブンにどのような対抗策を採るつもりなのか。

「地域密着を強化していく。社長の澤田も沖縄にはよく行っている。留学などで人口が多いネパール人向けのCMを沖縄で流したり、店舗スタッフ向けに沖縄弁に因んだ福利厚生“ファミンチュ”を提供するなど、工夫している。沖縄ファミリーマートは地元流通企業『リウボウ』も出資しているエリアフランチャイズなので、その利点も活かしていきたい」(ファミリーマート広報部)

 コンビニ業界に於ける「脱セブン」を沖縄県でも実地していく意気込みのようだ。

 セブンによるドミナント出店がこれから本格的に始まり、本土で既に取り沙汰されているトラブルは沖縄でも起きるだろう。そしてそれを迎え撃つ格好の、ローソンとファミリーマート。

 沖縄コンビニ業界は、熾烈を極める競争が展開されることが予想される。

角田裕育(すみだ・ひろゆき)
ジャーナリスト。兵庫県神戸市出身。北大阪合同労働組合青年部長、ミニコミ誌記者などを経てフリーに。著者に『セブン-イレブンの真実~鈴木敏文帝国の闇~』(日新報道)、『教育委員会の真実』(宝島社)。

週刊新潮WEB取材班編集

2019年8月9日掲載

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