「君の名は。」超えを目指す「天気の子」新海誠監督はなぜウケる

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作品の持つ“毒”

 気象予報士の森田正光氏を唸らせたのは、

「たとえば雲の描き方。発達し切った積乱雲は頂上部分が平らになるのですが、さらに成長すると、そこから上空に向かってドームのように雲が突き上がる。『天気の子』はこのオーバーシュートという現象を初めて描いた映画でしょうね。雲の切れ間から光が差し込む“天使のはしご”と呼ばれる現象もとても上手に表現していました。監修した雲研究者の荒木健太郎さんの功績も大きいと思います」

 一方で、先の有村氏はこう続ける。

「新海監督は今作のラストにネガティブで破滅的なシーンを提示しました。一見、ポップな映画なのに、いまの社会を覆う混沌とした雰囲気も投影している。さらに、若いファンに対して“本当にこれでいいのか?”と現実を突きつけた。『天気の子』の興収が『君の名は。』を超えるかは分かりませんが、作品の持つ“毒”の部分を含めて、ぜひ大人にも観てもらいたいですね」

 前作超えのカギは「大人ウケ」になりそうだ。

週刊新潮 2019年8月8日号掲載

ワイド特集「ひと夏の経験」より

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