「君の名は。」超えを目指す「天気の子」新海誠監督はなぜウケる

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 興行収入250億円超えは、邦画では「千と千尋の神隠し」に次ぐ歴代2位の大記録である。3年前の「君の名は。」が大当たりしたことで、一躍ヒットメーカーとなった新海誠監督(46)。封切りされたばかりの新作「天気の子」も話題だが、果たして、なぜ若者は彼の映画に熱狂するのか。

 公開翌週の7月26日、東京・新宿の映画館に足を運ぶと、すでに客席は「満員御礼」状態。夏休み中の中高生や、20代のカップルが客席の大半を占めていた。

 映画評論家の北川れい子さんも、

「私は公開初日に22時の回を見ましたが満席でしたね。驚いたのは終電の時刻が迫っているにもかかわらず、エンドロール中に誰も席を立たなかったこと。それほど若い観客を惹きつける作品なのだな、と」

「天気の子」の初日から3日間の興収は16億4400万円で、「君の名は。」と比べても3割増しというから上々の滑り出しである。

 そのあらすじは、〈離島から家出してきた高校1年生の少年が、東京で少女と出会う。彼女には、祈ることで空を晴れにできる不思議な能力があった。その能力が想定外の騒動を引き起こす〉というもの。

 映画評論家の有村昆氏によれば、

「新海作品の特徴は、世界を揺るがす事態になっても、一貫して“キミとボク”のストーリーが続いていくところにあります。主人公がいわゆる“こじらせ男子”という点にも若い観客は共感するのでしょう」

 うーむ、昭和生まれの男子たちにはなかなか理解しにくい気もするが、

「映画に登場する歌舞伎町の街並みは、大人でも目を奪われるほど克明に描かれています。日常の風景がきちんと描写されているので、延長線上にあるファンタジーに没入できるのです。新海監督はもともと完璧主義で知られ、デビュー作では脚本や作画はもちろん、キャラクターの声まで自ら吹き込んでいました」

 細部にこだわり、「現実」をしっかりと描いているので、物語に熱中できるというワケか。

 とりわけ、タイトルにもある「天気」の描写については、その道のプロも太鼓判を押す。

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