「れいわ新選組」と「NHKから国民を守る党」はなぜ躍進できたのか
「山本太郎」を台風に育てる慄然「衆愚の選択」(1/2)
れいわ新選組とNHKから国民を守る党。新たに政党要件を満たしたこれら2党、しらけ切った参院選の徒花と見くびれないという。国会をかき乱すばかりか、特に「れいわ」は台風に発展するという声も。衆愚の選択は、時に国を滅ぼすこともあるだけに……。
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しらけた参院選の、代わり映えがしない結果のなかで、良くも悪くも、変化の芽と呼べるのだろうか。
「下馬評を覆してれいわ新選組が2議席を獲得し、泡沫中の泡沫と見られていたNHKから国民を守る党も1議席を得たのは、両党とも、既成政党とは違う問題設定を有権者に示すことができたからです」
と見るのは、帝塚山学院大学の薬師院仁志教授である。もう少し具体的に尋ねてみよう。
「投票率が過去2番目に低かったのは、有権者は旧来の、戦前的なものと戦後的なものとの対立図式に飽き飽きしているからです。一番わかりやすい対立のキーワードは“護憲派”と“改憲派”でした。左右の対立を語る語のように思われがちですが、実は違う。一度は否定した戦前的な価値観を支持するか、戦後民主主義的なものを守るか、という二者択一を迫るもので、有権者はそういう選択にうんざりしています」
そんななか、
「れいわは、民衆の身近な悩みに寄り添い、それを解決するための政策課題を提示した。N国は反NHKという、国民の関心が高いとはいえなかった話を、あたかも問題のように取り上げて対立軸を煽った」(同)
いずれにしても、既存の対立軸から離れた場所に問題を設定し、わかりやすい言葉で説いた結果、有権者が揺さぶられたというわけだ。実際、れいわの山本太郎代表の演説は、
〈生活が苦しいのを、あなたのせいにされていませんか? 努力が足りなかったからじゃないか? 違いますよ。間違った自民党の経済政策のせいですよ。消費税は増税じゃない。腰が引けた野党のいう凍結でもない。減税、ゼロしかないじゃないですか〉
あるいは、
〈あなたに何ができるんですか? あなたは世間の役に立ってるんですか? っていうような空気、社会に蔓延しているからです。だから、そんな社会を、政治を変えたいんです。生きててよかった。そう思える国にしたい〉
などと、どこを切り取ってもわかりやすい。
〈NHKをぶっ壊す!〉
と訴えつつ、職員の不祥事について、
〈不倫ですよ、路上ですよ、カーセックスですよ〉
と連呼した、N国の立花孝志代表の政見放送も、わかりやすさという点で甲乙つけがたいといえよう。
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