N国党立花代表「私みたいな泡沫候補が真面目に政策を語って誰が耳を傾けますか?」

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 昨年度の受信料収入は過去最高の7122億円。NHKのこんな景気のいい数字を聞けば、庶民としては“ぶっ壊し”たくもなる。だが、そんな公共放送を敵視するあまり、政見放送で「(NHKアナの)不倫路上カーセックス!」と連呼した男を、“政党”の党首に据えた「民意」は正しかったのだろうか?

「私はこの結果に驚いていません。地方議員選挙に挑戦し始めた6年前から、この参院選に狙いを定め、緻密な計算でシミュレーションしてきましたから」

 こう淡々と振り返るのは、N国党こと「NHKから国民を守る党」代表で、晴れて参議院議員に当選した立花孝志氏(51)だ。

 N国は選挙区に37人、比例代表に4人が立候補した。選挙区は全滅したものの、比例では約99万票を集め1議席を獲得。さらに全国で2%以上を得票したので、政党要件さえもクリアして、今後は国から政党交付金を受け取れるのである。

 一体幾らになるのか。その額を再び立花氏に訊くと、

「年間で約1億2千万円、任期の6年間入ってきます。今回の選挙で供託金は1億3500万円かかり、うち1億2千万円が没収される計算ですが、それをはるかに上回る収入が得られます。6倍の配当の馬券を買ったようなものかな。さらに私の議員給与・文書交通費も入りますしね」

 供託金は全てYouTubeを通して募ったという。

「1口300万円で呼びかけました。年利15%での借金という形です。寄付にしてしまうと、その人のために仕事をしなければならなくなるからダメ。2週間ほどで約9千万円集まりました。金利がかさむ前に銀行などで借り換えて、早く返してしまうつもりです」(同)

 候補者集めも同様にネットを利用したという。その面々たるや、政見放送で6分間黙りこくる男、1人3役の寸劇を始める女性など、変わり者ばかりで話題を呼んだ。が、選挙を戦い抜いたばかりの仲間である彼らに対して立花氏は冷たい。

「最初から彼らを当選させる気などありません。申し訳ないですが、みなさん国会議員になってはならないような方々ですし。彼らは私を当選させるための分身にすぎません。比例票を集めるための“手段”です」

 などと言い放つが、政治家としての資質がもっとも疑問視されているのは代表である“あなた”という声も。

「私の政見放送は“芸”ですよ。わざとふざけてやっていただけ。私みたいな泡沫候補が真面目に政策を語って誰が耳を傾けますか? おふざけはおしまい。これからは真面目にやっていきます。NHKのスクランブル放送化など、民意を反映させる直接民主制を実現させていくつもりです」(同)

 確かにNHKの膨張拡大路線は度し難いが、政党がワンイシューだけを議論していたら国会は成り立たない。暮らしに直結する税や社会保障、外交から防衛まで、様々な政策を語れることが求められるはず……。受信料云々はおくとして、立花氏も血税を受けとるとあってはNHKばりに“みなさまの”ために精勤してもらいたい。

週刊新潮 2019年8月1日号掲載

特集「戦いすんで『令和デモクラシー』の悪夢」より

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