スカウトがペンを走らせて 甲子園球児下馬評

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「今年は、投手が豊作だったんだけどなあ……。あれもこれも予選で消えちゃったから少し拍子抜けだよ」

 と某球団スカウトが嘆く。

 夏の甲子園の出場校が出揃った。

 しかし、いわゆる“投手ビッグ4”のうち、大船渡(岩手)の佐々木朗希と西純矢(岡山・創志学園)、及川雅貴(神奈川・横浜)の3人が県予選で姿を消した。

 ただ1人甲子園に駒を進めたのは、

「星稜(石川)の奥川恭伸。150キロの直球のみならず変化球、特にスライダーが素晴しい。スタミナもある。佐々木と奥川はドラフト1位競合必至だけど、完成度は奥川が上。プロでも早い段階で活躍できそうだ」

 スカウト氏は、和歌山東(和歌山)の落合秀市、興南(沖縄)の宮城大弥らも甲子園で見たかったというが、詮無い話である。

 奥川の他に甲子園で注目の投手を挙げてもらうと、

「“東西の両西舘”かな。大船渡に勝って甲子園行きを決めた花巻東の西舘勇陽(ゆうひ)と、筑陽学園(福岡)の西舘昂汰(こうた)のことだけど、ともに右の本格派で、それぞれ182センチ、187センチと長身なのが魅力だね」

 野手に目を転じると、

「履正社(大阪)で昨季から4番を任されている井上広大(こうた)は、高校通算46本塁打の長距離砲。法大から今季ヤクルトに入団して頭角を現している先輩の中山翔太と同じタイプだ。大阪府大会でも本塁打を連発していたから、甲子園でもブレイクの予感がするね」

 智弁和歌山(和歌山)には視線を集める野手が2人。

「捕手の東妻(あずま)純平は強肩強打。174センチと小柄だけど、今は捕手も俊敏性が求められる時代だから。ソフトバンクの甲斐みたいになるかも。一方、黒川史陽(ふみや)は二塁手としては大柄な181センチで、1年夏から5季連続で甲子園の土を踏む。2人とも活躍次第ではドラフト指名もありえるよ」

 熱戦の火蓋が切られるのは8月6日。

週刊新潮 2019年8月8日号掲載

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