「佐々木朗希」の登板回避、32歳監督はどうすべきだったのか 決断への“批判”“称賛”
“相談してほしかった”
不完全燃焼――。勝負の世界で最も後悔が残る結末である。
翌日からのスポーツ紙やテレビでは早速論争が繰り広げられたが、他方で、
「実際の試合を見た立場から言えば、大船渡の選手は動揺しっぱなしでしたね」
と述べるのは、やはり現場で取材した、さるスポーツライターである。
「本人も含めて、ナインが『不出場』を聞かされたのはその日の朝でした。しかも“先発はさせない”ということのみしか伝えられていなかったので、選手たちは途中から佐々木君が投げるものだと思っていたようです。が、なかなかその時が来ない。そんな中、ナインは彼が出るのか出ないのか、不安でいっぱいの様子でした。キャッチャーはいつもはエラーをする子ではないのですが、三つもエラーをしていましたし」
試合が中盤に入ると、大船渡の控えピッチャーが独断でブルペンに入って投球練習を始めたという。
「国保さんは選手の自主性を重んじる監督でもともとほとんど指示を出さないのですが、この時もそうでしたね。でも、大量失点していた先発投手を6回まで引っ張り、しかもリリーフしたのは2年生投手。これは誰が見ても采配ミス。終盤になると帰るお客さんも出てきて、球場はざわざわしっぱなし。野球に集中できる環境ではないまま、試合は終わりました」(同)
そんなこともあってか、試合後の囲み会見で選手たちの中には、
「朗希が投げてほしかった」「もう少し相談してほしかった」
と尖った発言をする向きもあった。後味の悪さのみが残ったのである。
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