「浜崎あゆみ」告白本への苦言は的外れ、エイベックスと本人合作の炎上商法

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「いや、違う。今回の出版はエイベックスが本人と一緒になって考えたプロモーションだ。事実、このところ名前を聞かなかった浜崎が、にわかにクローズアップされた。劇薬のような本だからこそ世間の関心を集められた」(スポーツ紙芸能担当記者)

 なるほど、確かに松浦氏と版元・幻冬舎の見城徹社長(68)は昵懇の仲だ。見城氏はエイベックスの社外取締役でもあり、松浦氏にマイナスになることを見城氏がするはずがない。見城氏が浜崎の本を松浦氏に黙って出すこともあり得ないだろう。

「松浦氏は本の内容を事前にチェックしていたに違いない。出版されてから会長が中身を知るなんて、危機管理上も考えられない」(同・スポーツ紙芸能担当記者)

 暴露される側の松浦氏が、あらかじめ納得していたようだ。となると、外野席からの「ルール違反」といった苦言は的外れなのだろう。

 考えてみると、大半の芸能記者や熱心な浜崎ファンは松浦氏との関係を知っていた。松浦氏には痛くもかゆくもないのではないか。

 松浦氏が浜崎を陥れようとしたわけでもない。自社の歌手の価値を落とそうとするレコード会社経営者などいない。なにより、松浦氏にとって浜崎は単に稼いでくれただけの存在ではなく、恩人なのだから。

 2004年8月、エイベックスは大揺れになっていた。今の吉本興業ではないが、分裂の危機にあった。当時の依田巽社長(79)と創業者で専務だった松浦氏が経営方針を巡って衝突していたのだ。

 権力は社長の依田氏側が握っていたので、松浦氏は社を出ていこうと考えたが、浜崎が「松浦専務の辞任が受理されるのであれば、それは同時にエイベックスの終焉を認めるということになると考えます」と、マスコミを通じて訴え、流れが変わった。社内外ともに現場をよく知る松浦氏への支持に傾いた。

 結局、辞任したのは依田氏。その後の松浦体制をつくった1人は間違いなく浜崎であり、決して無下にできない存在なのだ。

痛い人

 では、なぜ浜崎は「痛い人」と言われてしまうような本を出したのか?

「いや、浜崎はもとから痛いというイメージの人なので、あまりダメージはないでしょう(笑)。たとえば、彼女は2013年を最後にそれまで15回連続で出場した紅白歌合戦に出ていませんが、2014年の出場歌手の発表直前だった11月23日、ツイッターで『NHKホール卒業させて頂きます!ベストな形でお別れが出来た事をむしろ清々しい気持ちで喜んでいる』と発信しました。誰が考えてもヒット曲がなかったので落選したわけですが、卒業と称し、それもNHKの公式発表直前に宣言してしまうのですから、痛いです」(同・スポーツ紙芸能担当記者)

 恋愛相手が「身内」と言える松浦氏なので、その点でも大きなダメージが避けられた。訴えられる心配はない。やはり計算づくのプロモーションと捉えるのが妥当であるようだ。

「浜崎が2001年から7年間付き合ったTOKIOの長瀬智也のことを振り返ったり、2度の結婚と離婚について明かしたりしたら、本当の暴露本になってしまい、深刻な傷を負ったはず。松浦氏なら批判は長くは続かないでしょう」(同・スポーツ紙芸能担当記者)

 振り返ると松浦氏は2018年10月18日、ツイッターで浜崎ファンと意味深なやり取りをしている。

 「もっと新曲やメディア露出してほしい」(ファン)

 「考えているから」(松浦氏)

 考えた戦略の一つが、この本なのか。確かにメディア露出した。

 浜崎は現在、かつてのライバル・安室奈美恵(41)が引退した40歳。意識していないはずがない。劇薬的な本の次は、これまでとは違う新曲で世間を驚かせるつもりではないか。

鈴木文彦/ライター

週刊新潮WEB取材班編集

2019年8月5日掲載

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