大手マスコミ「世論調査」の実態 なぜ内閣支持率や政党支持率に大きな差が出るのか
政党支持率の差は最大30ポイント超
内閣支持率以上に、メディア各社の偏りが大きいのが政党支持率だという。13年から18年までに発表された各社の政党支持率を平均してみると、自民党は最も高いANNで平均45・38%。最も低い時事通信では25・68%と、実に20ポイント近い差がある。また、支持政党を持たない無党派層は、最も高い時事通信で59・64%。最も低いANNでは27・32%と、その差は30ポイントを超えているのだ。
これでは、どの世論調査が正確なのか分からない。
三春氏は、数値が大きく異なる原因を、政党名の読み上げの有無にあると分析する。
〈内閣支持率の場合は、回答は基本的に支持か不支持に集約されるわけですから、回答者にとって意志の表明が容易でした。しかし政党は数多くあるため、回答者はその中から一つを選び取る必要があります。そこで、「どの政党を支持しますか」と聞いた後で選択肢を列挙した上で回答を求めるのか、列挙せずに回答を求めるのかという違いが生じるのです。政党支持率では、調査方法の影響も内閣支持率より強く表れます。(中略)各社ごとの政党支持率の平均からは、個別面接形式を採用している時事通信の政党支持率が非常に低く出ることが読み取れます。(中略)電話形式の10社と比べ、個別面接形式の時事通信では無党派層が1・67倍となっています。無党派層は支持政党を持たない人たちのことですから、これは裏を返せば政党支持率が低く出るということにほかなりません。そこで政党支持率を見ていくと、時事通信では野党の支持率が総じて電話形式の半分程度となっています。(中略)自民党もまた0・66倍と低くなっています。その中で固い基盤を持つ公明党だけが個別面接形式でも電話形式でもほぼ同じ水準になることは興味深いですね。個別面接形式では調査員と対面して回答することになるため、顔が見えない電話形式と比べて意志の表明をためらう人が多くなるとみられますが、公明党に限っては支持者にそのような違いがないわけです〉
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