夏ドラマに異変「ボイス」「サイン」「two weeks」……なぜ韓国ドラマのリメイクが多い?

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韓国ドラマリメイクの最大理由は……

 その代替案として登場したのが韓国ドラマのリメイクだ。ここまで制作サイドの人気を呼んでいるのには、3つの理由があるという。

「第1の理由は、出演者のブッキングが容易だということです。元の韓国ドラマを見れば、だいたいイメージが湧きますので、事務所も役者も安心です。役作りもゼロから作り上げるより楽でしょう。実際、今年の夏に放送されている3作品は、どれも韓国版を忠実に再現した感じですね」(同・ドラマ制作会社幹部)

 第2の理由は、「リメイク権の金額が値下がりした」こと。これが一番大きな要因だという。

「これまで韓国側は、かなり強気な価格設定だったんです。具体的に言えば、1話200万円、10話で2000万円という原作料は珍しくなかったと思います。それが今では1話60万円から80万円、10話で最大でも800万円という具合です。やはり高額では買い手がつかないらしく、値下げしているようです」(同・ドラマ制作会社幹部)

 第3の理由は、制作費のコストカットだ。韓国側に原作料を支払っても、まだお釣りがくるのだという。

「日本の大御所脚本家に執筆をお願いすると、1話で200万円は必要です。一方、韓国ドラマをリメイクする場合、翻訳した脚本を日本人の脚本家に委ねますが、50万円くらいで書いてもらえる。原作料が1話最高で80万円として、これにプラス50万円で130万円。70万円は安く上がる計算になります」(同・ドラマ制作会社幹部)

 大御所の脚本家にオリジナル作品を依頼すれば、確かに素晴らしい脚本が完成するかもしれない。だが、主演の演技が視聴者に受け入れられるかは未知数だ。脚本と役者が頑張っても、ディレクターが台無しにしてしまうリスクもある。製作費をつぎ込んだとして、必ずしもヒット作が生れるとは限らない。

 それに比べ、リメイク作品は製作費を抑えることが可能で、出演者もスタッフも韓国版を見ることができるため作品の“世界観”を理解しやすい。結果として撮影はスムーズに進む。そして韓国でヒットしたドラマは日本でも視聴率を稼ぐ可能性が高いのは、これまでの“実績”が証明している。

「去年、フジテレビの『グッド・ドクター』が成功し、日テレとテレ朝が追随したと見るのが自然でしょう。この流れは続くと思いますが、今後、日本のテレビ局のドラマの制作力が衰退しないか心配ですね」(同・ドラマ制作会社幹部)

 誤解を恐れずに言えば、他人の褌で相撲を取っているわけだから、先の幹部の懸念もあながち杞憂とは言えないだろう。バブル時のトレンディドラマを熱心に研究し、韓国のテレビドラマは成長したという。まさに、逆転現象が起きているということか。

週刊新潮WEB取材班

2019年8月3日掲載

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