広島カープ・緒方監督が怠慢選手に「パンチ6発」 今どき鉄拳制裁は是か非か
昨季まで3連覇を果たした好調が嘘のように11連敗を喫した広島カープ。その陰に秘された事件こそ、他ならぬ緒方孝市監督(50)による「嵐の掌底」連打だった。
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FAのお蔭で櫛の歯が欠けたように選手がいなくなる広島がそれでもセ・リーグ3連覇を果たせたのは、緒方孝市監督の手腕に負うところが大きいだろう。FAなしには野球ができない巨人は干支ひと回りの間に2度の3連覇を飾っているが、それとはモノが違うのだ。
もっとも今季の緒方広島は昨季までの快進撃をそのままに……とは行かず、3・4月は12勝15敗で、5月は20勝4敗1分と破竹の勢いで一時首位に立ったものの、6月は6勝15敗2分の大ブレーキ。そして、6月28日からオールスター前まで、1分を挟んで、20季ぶりの11連敗を喫した。元カープコーチでOB会長を務める安仁屋宗八氏は、
「丸(佳浩)や新井(貴浩)が抜けましたが、どちらかというと新井の穴は大きいですね。彼は若い選手のプレーの悩みの相談に乗ったり、ベンチの雰囲気を盛り上げていましたから」
と、調子に乗りきれない古巣を分析する。そんな連敗当初の6月30日、敵地でのDeNA戦で事件は起きていた。担当記者によると、
「野間(峻祥)が打ち上げた浅いフライを投手が落球したが、野間が緩慢な走塁をしたせいでアウトになった。全力疾走していればセーフだったのは明らかでした」
村野工から中部学院大に進んだ野間は、2014年にドラフト1位指名を受けた。4年目の昨季に初めて規定打席に達し、打率2割8分6厘。不動のセンターだった丸の後を襲う最有力候補と目される26歳だ。
そんな野間は件の試合後、緒方監督に呼び出された。
「8畳くらいの監督室で、怠慢プレーについて監督は相当な勢いで叱責しました。そして監督の手が6回、野間に飛んだんです」
と、球団関係者。
「野間はホームベースを踏み忘れて2軍降格したことがある。そんなウッカリが怠慢走塁で雷を落とされるのは仕方ない。ただこのご時世、暴力はダメ。野間は被害届の提出などを検討したけど、長野(久義)らベテランに説得されたようです」
選手のひとりは、
「裏方含めほぼ全員が知っている話っす。野間は“打球が見えなかった”って言い訳したみたいですが、なら走れよって感じ。平手ではあるんですが、掌底を食らったっていうのは聞きました。監督、力強いし」
野武士の如く他を寄せ付けない監督の存在感ゆえに、物言えば唇寒しの状況だという。穏やかならざる話だが、球界にあって鉄拳制裁と言えば、あの中日監督時代の星野仙一氏である。
「1987年から91年までの第1次政権時が酷かったですね。ロッカールームに向かう途中の通路に呼び出してボコボコにする。壁には星野さんが蹴った後にできた穴が残っていました」
と、当時の担当記者。
「中村武志(捕手)は練習中に態度が良くないということで、ホームベースからバックスクリーンまで後ずさりしながらシバかれ続けたことがありました。また、ベンチでは激昂すると湯呑を壁や地面に投げつけて割ってしまう。その破片を片付けるのは大変だと、プラスチック製のコップに替えたことがあったんですが、湯呑をぶつけても割れないから、“誰や~! プラスチックに替えたのは!”と怒鳴り散らしていました」
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