いまどき大学生の「呼称」事情(中川淳一郎)
久々に大学で講義をしたら、色々と新鮮なことばかりでした。東北地方の小さな大学だったのですが、昨今の大学生に対する定説――大学生はPCを持っておらず、レポートもスマホで書く、とはまったく異なっていたのです。
1人1台PCを持つよう指導されており、講義の後に参加したゼミでは、全員がプレゼンソフトのPowerPointを使って「卒業制作」のプレゼンをするのです。
先生に「今どきの大学生はPCを使えないって聞いてましたが……」と言うと「そういう面はあるかもしれませんが、ウチの大学に限れば違います。働き始めたらPCはやっぱり必須なので、今の内に使えるようにしてもらっています」と語っていました。
さて、今どきの大学生でもう一つ驚いたのは、学生同士の仲が異様に良いという点です。小さい大学ならではのことかもしれないのですが、学内では常に挨拶が飛び交っている。さらに仰天したのが、男女で話す時もあだ名か下の名前で呼んでいることです。「カンベエ」というあだ名の女性に、一体なんでそんなあだ名なのかと聞いてみると名字が「黒田」だからだそうです。黒田官兵衛ですね。
その日の夜は、先生と共に居酒屋へ行ったのですが、男女学生6人が参加し、あだ名や下の名前で呼びかけ、楽しく語り合う。先生のことは「○○さん」と呼ぶ。「○○先生」じゃないの!? と、これまた驚きました。その後は学生2人が私の宿に来て、朝の4時ぐらいまで飲み続けました。初対面のオッサンにも臆することなく食い込んでくるこのコミュニケーション能力、タダモノではありません。深夜の飲みの時も、2人の仲の良さは変わらず、かなり羨ましかったです。
自分が大学にいた頃はこんな雰囲気ではなく、基本的に男同士は名字を「呼び捨て」で、女子学生に対しては「○○さん」でした。女子が男子を呼ぶ時は「○○君」です。
だから、今一緒に会社を経営している同級生のY嬢も私のことを「中川君」と呼び、私も彼女を「Yさん」と呼んでいます。
さて、大学時代の「呼称」と言えば、こうした伝統的ルールをぶち壊す同級生がいました。千葉商科大学専任講師の常見陽平氏です。私と同氏はプロレス研究会に入っていたのですが、彼は部員にリングネームをつけるのはまだしも、同級生にも勝手にリングネームをつけまくっていたのでした! 吉永さんには「サユリ・ヨシナガ」で、これは上品ですね。しかし、伝統的に学生プロレスのリングネームというのは下品で、「ミギテ・デ・マスカキス」(ミル・マスカラス)や、「フェラ千代の富士」みたいな選手がいました。現在の我々の部の会長(後輩)は「シルガデタ・スマタローン」です。
こうした卑猥なリングネームを部員ではない同級生にもつけるのが常見氏だったのです。奥田君は「モット奥田」で、猪木君は「アンタニオウ猪木」で、古寺君は「オマーン古寺」です。
ちなみに私のリングネームは「スカトロング山田」でした。当初は「風吹ジュン一郎」というのを考えていたようですが「下品にしてくれ」と私からお願いし、こうなりました。