ついにフリー転身 自己顕示欲の申し子・笠井信輔アナの「女子アナ」的感覚

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「男おばさん」の呼び名 女子アナ的な男性アナウンサーという立ち位置

 前述の軽部アナとの番組は「男おばさん」という名で放送されていたが、名付け親は同局に在籍していた山中秀樹アナだという。彼らが盛り上がっている様子が、おばさんが井戸端会議をしているようなやかましさだったから、というのが由来のようだ。周囲の思惑はお構いなしにしゃべりがちな彼のメンタリティを考えれば、言いえて妙である。

 思えば笠井アナは、女子アナ的な扱われ方をされてきた男性アナだと思う。報道番組に長年携わりながらも、メインで番組を回すというよりもサブ的な扱いをされてきた。エンタメ情報の紹介に現場レポート。そして「とくダネ!」で見るような、噛んだり言い間違えたり、小倉氏に話を振られて私見を述べ、ズレているとツッコまれて笑っている様は、20代の女子アナが担ってきた役割そのものだった。

 しかし悲しいかな、女子アナに比べ男性アナにスポットライトが当たることは少ない。だからフリーになる男性たちは、宮根誠司や羽鳥慎一などのように冠番組を持つか、スポーツ分野や政治家など、まったく違う分野でトップを目指そうと転身することが前提だったように思う。女子アナが人気絶頂時にフリー転身をし、ぬるぬるとタレント活動をし始めて芸能人然としていくのとは対照的だ。だからタレント活動っぽいことをしたい、というミーハーさをあらわにする男性アナウンサーはあまり見たことがなかった。そう、笠井アナを見るまでは。

 扱われ方といい本人のメンタリティといい、おばさんというか女子アナ的な男性アナである笠井アナ。だから彼の得意分野は彼が思うような「映画や演劇にツッコむ」分野ではなく、実は若い女子アナ的に「ツッコまれる」分野ではないだろうか。むしろその立ち位置は、男子アナウンサーとして稀有である。

 天下のフジテレビ出身、朝の顔とも言える番組遍歴は、彼の自尊心をますます肥大させているかもしれない。でも評論家然としてエンタメを語ったり、俳優として出てくる姿よりも、小倉さん的なお偉いさんにイジられ続ける女子アナ的な生き方を極める方が息が長いのではないか。勝手ながらそう感じる次第である。

(冨士海ネコ)

2019年8月2日掲載

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