朝日新聞社員が続々証言する、ストレートニュースにも「角度をつける」特異体質
朝日新聞「ハンセン病家族訴訟」大誤報の舞台裏(2/2)
ハンセン病家族訴訟をめぐり、〈控訴へ〉と報じた7月9日の朝日新聞記事は、まさに「第二の吉田調書事件」と呼ぶべき大誤報となった。「誤報の背景には参院選がある」と解説するのは、全国紙の政治部デスク。仮に安倍総理が「控訴」という判断をすれば批判を招き、選挙にマイナスの影響があったためだという。「朝日には『控訴』であるほうが都合が良かったわけです」(同)
事実、報道前日8日夜の段階で、朝日は“控訴は難しい”との情報は得ていた。が、10日に掲載された釈明記事にも、その記述はない。自らにとって都合に悪い事実を、朝日の上層部が消したのだろう――。
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一連の経緯について、週刊新潮は朝日に取材を申し込んだ。取材の過程で、「控訴は難しいのではないか」という証言も得ていたこと。釈明記事からその部分が消えたことなどについて細かく聞いたが、個別の質問には答えず、
「取材が十分ではなかったことは、10日付紙面でおわびした通りです」
との回答が広報部から寄せられたのみだった。
「“控訴は難しそう”との情報があったにもかかわらず、『控訴へ』と大誤報を打ったのは、選挙中の安倍総理に打撃を与えてやろうという朝日の政治的意図そのものの現れです」
と、語るのは政治評論家の屋山太郎氏である。
「ハンセン病患者のご家族の側に立てば、政府が控訴しないというのは当然の話。隔離された患者さんの苦しみは言うまでもなく、社会の中で差別を受けながら生きてきたご家族の苦しみは、ある意味では患者さん以上かもしれません。朝日上層部は、そうしたご家族の気持ちを理解できていない。だからこそ今回のような報道が出来るのです」
元読売新聞記者でジャーナリストの大谷昭宏氏も、
「ハンセン病という大変重たい病気と差別に苦しんできた方々とそのご家族は、長い戦いの果てにやっと勝訴して、ようやく救済の手が伸びようという時だった。朝日の記事は、一審の判決が出て喜んでいたご家族の中には一時でも“ああ、まだ長い戦いが続くんだ”と落胆された方もいたかもしれない。その点においても罪深かったと思います」
重大な事実が隠蔽された「釈明記事」については、
「控訴しないという情報も得ていたことを正直に書いてしまうと、それをあえて無視した朝日の政治的意図が明らかになってしまう。だから触れられなかったのでしょう」(屋山氏)
「社会部が正しい情報を掴んできたのに、政治部がその取材データを封殺して誤報になった。何をやっているんだ、という話です。釈明記事では、社内に異論があったのであれば、それにも触れなくてはならない。なぜ異論は無視され、間違った大きな声だけが社内でまかり通ってしまったのか。その経緯を検証することこそが、二度と同じ過ちを犯さないために必要な作業だと思います」(大谷氏)
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