かんぽ生命「高齢者狙い」悪質手口とその裏にはびこる「住友イズム」
お役所仕事の「かんぽ生命」をノルマ地獄に変えた「住友イズム」(2/2)
保険に入って得られたはずの安心が、営業担当のノルマ達成のために言葉巧みに切り崩された――。かんぽ生命の不正営業の実態は集団詐欺そのもの。しかも、郵便局の信用を笠に着てのことだから悪質である。背景には、民営化後に導入された住友イズムがあった。
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顧客が保険を乗り換えるにあたり、古い契約を残し、7カ月経ってから解約させる二重徴収。あるいは、既存の契約を解約させたのち、4カ月経ってから契約させ、無保険期間を生じさせる……。このたび明らかになったかんぽ生命の不正の手口である。
現役の日本郵便の渉外社員の告発によれば、
「金蔓の高齢者を回るのは、ブロックでトップクラスの成績を上げている言葉巧みな社員。部長はその社員が動きやすいように、下に手足になる社員を4、5人つけ、班を作らせます」
こうした“デキる”社員が高齢者を勧誘する際には、
「相続を糸口に、あれこれ契約させる場合が多い」(同)
実際、被害に遭った近畿圏在住の50代の男性が言う。
「昨年、82歳の母から“郵便局員さんが来ているので家に来て”と言われて行くと、営業社員と上司がいました。“お母様が亡くなられると通帳が凍結されて下ろせない。生前贈与として息子さんの口座にお金を移して養老保険に入りませんか”と言われ、年払いで85万6千円だという。途中解約できるというので契約すると、今度は父が“郵便局が来て口座から70万円下ろされた”と言ってきた。怪しいと思って確認すると、母の口座から85万6千円が私の口座に送金されてはいたものの、そのお金で私が生命保険に入ったことになっていて、しかも保険金の受取人は母。姉も生保に入れられ、受取人は父でした。親にもしものことがあったときにお金をすぐに使えるように、と言いながら本末転倒で、しかも解約すると20万円損するという。郵便局の人だから、と信用してしまったのが落ち度でした……」
内勤で保険を売る、さる郵便局員が補足する。
「4、5年前、高齢者の契約には親族の同席が必要になりました。ところが現実には、申込みの前に親族に電話確認するだけで契約が可能になっています」
また上の例のように、同席した親族に嘘八百を並べるケースもある。これらを、郵便局の信用を笠に着た集団的かつ悪質な詐欺と呼ばずに、なんと呼ぶか。かんぽ生命の契約者の方は、ご自身の保険の契約内容を確認することと、郵便局員の甘言に警戒心をもつことをお勧めしたい。
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