育休が辛い? せっかく子どもを授かったのに「孤独感、お金の不安、復帰プレッシャー」が消えない
育休期間は育児に専念できる幸せな時間…そう思う向きは多いだろう。しかし、育休は人によっては、苦痛や孤独を感じる期間ともなるようだ。
2018年の待機児童数は、全国で19,895人、東京に絞ると5,414人(東京都福祉保健局による東京都出生数・出生率データによる)。この子たちの親は育休期間か専業主婦がほとんどだろう。
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様々な育休期間の苦しさ
育休中が「大変だった」と答える人は多く、その理由として育児疲れ、孤独感、お金の不安、職場復帰プレッシャーなどを挙げている。
ファイナンシャルアカデミーで総合職として勤務している首藤さんは、2018年2月~11月に育休を取得した。
首藤さんは、「育休中に感じていたのは、休んでいることへの焦りです。仕事へのあこがれが募っていましたが、育休取得をした人がいない職場だったので、ちゃんと復帰できるか不安でたまらなかった。私、取り残されている!と焦るんですが、育児に明け暮れているだけで時間が過ぎてしまい、何もできずに自己嫌悪の毎日でした。ママ友も簡単にできるものじゃなかった」と育休当時の辛い気持ちを明かす。
育休中はパートナー以外とのコミュニケーションが極端に減り、ひとことも話さず過ごす時間が増加する。
サービス業の管理職にあり、これから産休に入るという水田さん(35歳 仮名)は「初育休中は赤ちゃんと2人きりの生活で、人間の言葉を話したい!と思いました。自分が授乳マシンになった気がしました。夫の出張があったときは地獄でした。保健所の家庭訪問の人にもメンタルを心配されていたようです。耐えきれず、ベビーシッターを雇って復職しました。ある程度経済力があったので可能でしたが、保育園入園まで待っていたら、絶対ウツになったと思います。産後のメンタルは、経済力によっても左右されるかもしれません」と、当時の孤独感を振り返る。
また、「お金の不安」は「職場に復帰して働かねばならない。うまくできるだろうか」という不安を増長させるようだ。前述の水田さんは「生活水準を落としたくないし、子どもにも良い教育を受けさせたいと思っています。そのために、成果を出す働きをしなきゃという焦りがありました」という。低所得世帯だけがお金の心配をしているわけではなさそうだ。
出版社勤務で育休に入っている柏崎さん(32歳 仮名)も「2人目の子どもを授かったときに『お金が足りるのか』という不安が消えませんでした。1人目のときは思わなかったのですが。お金の知識がないことを後悔しました」と語る。
「知ること」で解決することも
育休中の悩みに対抗するには、不安をなくすことが第一歩だ。例えば、「お金の不安」は、子どもの教育費がどのくらいかかるか知り、公的制度を知ることで氷解するケースが多い。「妊娠」をテーマにしたエッセイが人気のマンガイラストレーターのフクチマミさんも、その中のひとりだ。
新著『子育てのお金まるっとBOOK』では、教育費はどのように貯めるのか、投資が恐ろしい、加入している保険の種類もあやふや、NISAもiDeCoもわからない、という「お金初心者」として「子育てのお金」について真っ向から取り組んでいる。
フクチさんのように、教育費はすごくかかると知っていても、それが具体的にイメージできない人も多いのではないだろうか。まずは具体的にどれくらいのお金がかかるかを知り、その上でどのように貯めていくのかを考えることで不安が少し解消されるかもしれない。
また、前出の首藤さんは、育休中の不安感、そして復帰した職場で感じた“浦島太郎気分”そのものを仕事に活かし、子連れで参加できる「お金のセミナー」を企画した。
「育休中の孤独を知り、ママ同士が繋がれる交流の場を作りたいと思いました。同じ気持ちを同じ境遇のママと知り合って語るだけでも、心が楽になる」。
育休で会社は休めるが、子育てはノンストップ。その担い手の気持ちを理解し、手を差し伸べることで救われる母親父親、ひいては子がいるはずだ。
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「ママのためのお金まるっとセミナー with baby」
2019年7月29日(月)11時より東京丸の内で開催。0歳、1歳の子どもを乗せたベビーカーのまま教室に入って受講可。ライフプランや貯蓄術、投資信託の基本について学べる。(https://www.f-academy.jp/event/190606/#no03)