朝日新聞「ハンセン病家族訴訟」大誤報、釈明記事でも重大事実を隠蔽していた

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“大誤報になるぞ”

 ちなみに、朝日が8日夕方に取材した「首相の意向を知りうる政権幹部」とは、

「菅義偉官房長官です。8日夕方、菅さんは新橋で遊説した後、官邸に戻ったのですが、朝日を含む数社だけが官邸入りするタイミングに間に合い、短い囲み取材が行われたのです。そこで記者が“控訴するんですか?”と聞くと、菅さんは“しょうがないでしょう”と答えていました」

 先の全国紙の政治部デスクはそう明かす。

「朝日はその言葉をもって“控訴する方針は変わらない”と判断したわけですが、菅さんの言葉には続きがあり、“最終的には決めていない”とも言っているのです。つまり、最終的に決めるのは総理だ、ということ。常識的に考えれば、総理の意向を確認できていないのに、『控訴へ』とは打てません。少なくとも我々には出来ない。1面の記事ともなればなおさらです」

 8日の段階で安倍総理の意向を確認できたメディアが1社だけある。NHKだ。

「8日夜10時の段階で安倍総理、根本匠厚労大臣、柴山昌彦文科大臣から『控訴断念』のウラが取れており、深夜になって山下貴司法務大臣の話も取れたので打った」(NHK関係者)

 朝日が“敵対関係”の安倍総理から直接証言を引き出すのは無理にしても、他の大臣のところを回っていれば、「控訴断念」情報を取れた可能性があったということだ。ますます8日夜に朝日の記者は何をやっていたのか、という話になるが、驚くべき情報がある。8日夜、朝日も「控訴は難しい」との証言を得ていた、というのである。

「8日夜、朝日の社会部は政府筋から“控訴は難しいのではないか。控訴へ、と書くと大誤報になるぞ”という証言を得ていた。しかし、報告を受けた政治部は、まだ再取材が可能な時間帯だったにもかかわらず、ほとんど何もしなかった」

 事情に通じた政府関係者がそう明かす。

「実は10日の釈明記事も、最初の段階の原稿では、“控訴は難しい”との情報も得ていたことに触れた内容になっていた。しかし、掲載された記事を見ると、その部分がきれいに消えてしまっている」

 客観的に見れば“消えた”その部分は、朝日の上層部が“消した”のであろう。自らにとって都合の悪い事実をなかったことにする。それを何と言うか、朝日の上層部が知らないはずがない。隠蔽――「森友学園問題」などの際に朝日が好んで使ってきた言葉だ。

(2)へつづく

週刊新潮 2019年7月25日号掲載

特集「『朝日新聞』は釈明記事でも『重大事実』を隠蔽した! 『ハンセン病家族訴訟』大誤報の舞台裏」より

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