かんぽ生命を「悪質詐欺集団」へと失墜させた「ノルマ地獄」の実態

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過酷なノルマと懲罰

 それにしても、なぜこんな不正が横行したのか。

「過酷なノルマと、達成できなかったときの懲罰に追い立てられていて……」

 と、かんぽの販売に携わる、現役の日本郵便の渉外社員が告発する。

「保険部門は、集配機能がある郵便局がいくつか集まったブロックを束ねる本部長がいて、各局に部長、課長、と管理職がいて、一番下に渉外社員がいます。郵便局長は、あまり保険に関わりません。局ごとに毎年、年間目標額が定められ、私の局は今年、社員1人当たり、月々の掛け金ベースで380万円。ただ、個々のキャリアや成績に応じて割り振られます」

 別に、本部長がブロック一律で課すノルマがあり、

「一昨年は月25万円で、昨年が20万円。今年は15万円ですが、昨年、『クローズアップ現代+』が、かんぽの販売を批判的に取り上げたからでしょう。ノルマを達成できないと、ブロックごとに毎月のように行われる研修に呼ばれます。そこでは、達成できなかった理由をレポートに書かされ、参加者たちの前で“来月は〇〇円達成します”と宣誓させられます。かんぽ生命が上場した15年以降、ノルマも研修の頻度も増え、研修では未達成の社員を立たせ、管理職が“どうして達成できない!”“会社になにか貢献したか!”などと怒鳴りつけるようになりました。できない人間は、みんなの前で叱責して辞めさせた方が目標を達成しやすい。そういう意識が蔓延するようになりましたね」

 別の日本郵便社員は、

「あるブロックの研修では局員に、お客と渉外社員を演じさせます。事前に渡された台本は、すべて暗記していなければダメで、一言でも間違えると許されません。こうした研修が原因でうつになったり休職したりする人は、本当に多い」

 と語り、こう続ける。

「みな研修に出たくないから、是が非でもノルマを達成しようとするのです」

 むろん、営業成績を上げれば手当がつく。

「同い年でも成績不振者は年収が300万円、優秀者は1千万円超というほど差がある。手当ほしさにひどい販売をしている人はたくさんいます」(同)

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