野村証券が元社員の実名出しで注意喚起! 現役社員も関与の「投資詐欺」を被害者が証言

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複数の顧客が被害に

 緊迫したやり取りを記録した録音データによれば、中村は開口一番こう言った。

〈本当に、いっぱい迷惑かけて、本当にすいませんでした。すいませんでした。すいませんでした〉

 芝居じみた謝罪の後、投資話は実体のない架空の案件であったことも認めた。

〈元々、ちょっとその話自体は聞いたことはあったんですけど、実際に僕がかかわったわけではないです。すいません〉

 で、同席した別の債権者から、手元にどれだけお金があるのか訊かれた中村は、

〈今、本当にゼロです〉

 と、窮状を告白。

〈本当に、取り返しのつかない最低なことをしてしまって……〉

 と弁明を繰り返したのだ。

 再び被害男性が言う。

「中村の説明では、六本木でウニ料理の飲食店やバーを経営したことで借金が膨らみ、返済するために詐欺を始めたと。今後は、不動産を歩合で販売し、そこから返済するということで話が決まったのですが……」

 案の定、暫くして中村は雲隠れ。苦虫を噛みつぶす被害者に、追い打ちをかけるような男まで現れた。

「4月に入ってから、野村証券船橋支店の営業マンで、私の前任担当者の先輩と名乗る人物がやって来て、『損失分を穴埋めしましょう』と、別の投資案件を持ちかけてきたんです。不動産投資やFXで、1千万円から2千万円の投資に対し毎月10万円の配当を出すという説明でした」(同)

 流石に野村への信用を失っていた被害男性はキッパリ断ったそうだが、この現役社員、ここでは仮に佐藤としておくが、調べてみれば中村と接点が多々あった。

 中村を知る野村証券OBが明かすには、

「佐藤は大阪の高槻支店時代、姫路支店に勤務していた中村と遊び仲間だった。中村が野村を辞めた後、佐藤は船橋支店に異動になりますが、そこで今回の被害者の担当者だった後輩の営業マンを引き込み詐欺を企てたと思われます」

 中村と気心知れた野村の社員が、その顧客を餌食にしたという構図が浮かぶ。

 そのため被害は船橋支店だけにとどまらない。中村や佐藤が営業に勤しんでいた関西圏でも、複数の顧客が同様の被害に遭っていた。

 佐藤の顧客だったという大阪在住の会社経営者は、

「トータル3千万円くらい投資したけど、まだ2千万円ほど戻って来ない。私の担当だった佐藤くんから中村を紹介されたんですが、去年の1月に、自民党のある先生から来ている案件で、配当が3%つくと力説され信用したんです。佐藤くんは身長も高く男前で、いつも高そうなスーツを着て靴も20万円はする高級なものを履き、胡散臭い感じはなかった。私の誕生日には花を贈ってくれることもあって、何でもないことでも連絡をくれる仲。そんな彼から昨年の11月頃、“実は僕も中村に騙されていたんです。本当にすみません”とお詫びがあって……。今はもう、何が本当だか分からなくなるほど、大変なショックを受けているんです」

(2)へつづく

週刊新潮 2019年7月18日号掲載

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