ジャニーさん亡き後、早くも浮き彫りになったジャニーズ帝国「3つの課題」

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メリーさんジュリーさんに「強い局」「弱い局」

 一方、メリーさん、ジュリーさんの母娘には強い局と弱い局があるという。

「2人が一番強いのは日本テレビ。次いでジュリーさんの元の勤務先であるフジです」(同・民放幹部)

 だから、ジュリーさんの影響力が強い「嵐」をメーンにした「嵐にしやがれ」も2010年4月から日テレで始められた。当時、各局とも「嵐」の番組をやりたがっていた。

 一方で、前述の飯島三智さんはフジに滅法強く、日テレとはやや距離があった。フジとのパイプの太さもあって、「SMAP×SMAP」(1996-2016)は20年もの長寿番組と化したのだという。

「今後はジャニーさんが確立したテレビ局への強い影響力をいかに維持するかでしょう」(同・民放幹部)

 それは、所属タレントの独立を阻むためでもある。タレントが独立しない理由の一つが、「テレビに出られなくなってしまうから」なのは公然の秘密だ。

 事実、2017年に事務所を離れ、現在は飯島さんと行動をともにしている元SMAPの稲垣吾郎(45)、草彅剛(45)、香取慎吾(42)の3人は今も東京キー局の番組に出演できない。出られるのは地方局だけである。

 同じ民放幹部が説明する。

「ジャニーズ事務所からの直接の要望などはないが、機嫌を損ねてしまい、ほかのジャニーズ勢が出演辞退したら困るから」

 同じ理由で、ほかの事務所に所属する男性アイドルグループも東京キー局にはまず出演できない。これが帝国を維持できてきた理由の一つでもあった。

 ただし、この仕組みを維持するのも至難だろう。
 テレビ局の中堅ディレクターなどから「こんなことを、いつまで続けるのか」といった疑問の声が上がり始めている一方、ほかの事務所も「これではジャニーズ事務所以外の男性アイドルグループが育たず、みすみす韓国アイドルグループに日本の市場を奪われる」などと不満を漏らしているからだ。

「ジャニーさんの死を一区切りにして、男性アイドルグループは自由競争にすべきだという意見が上がっています」(同・民放幹部)

 独立してもテレビに出られるとなると、帝国からの離脱が相次ぐ可能性もありそうだ。

 ジュリーさんが相続する遺産は200億円とも300億円とも言われる。ジャニーズ事務所の法人としての資産は500億円以上と目される。

「独立組が相次ぎ、新人も育てられなかったら、事務所は資産管理会社になりかねない。それではジャニーズ事務所の名前が泣く。お嬢さまのジュリーさんがハングリー精神を持てるかどうかがカギでしょう」(前出・レコード会社幹部)

 帝国の未来やいかに――。

鈴木文彦/ライター

週刊新潮WEB取材班編集

2019年7月16日掲載

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