ジャニーさん亡き後、早くも浮き彫りになったジャニーズ帝国「3つの課題」
芸能界のカリスマだったジャニーズ事務所社長のジャニー喜多川さんが87歳で死去した。次期社長に姪の藤島ジュリー景子副社長(52)が就くのは確実。一方、新人発掘などは2018年末に芸能界を引退した滝沢秀明氏(37)が担う。一見、次期体制盤石のようだが、前途を危ぶむ声は少なくない。
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「ジャニーズ帝国」。ジャニーズ事務所は、そう呼ばれることが珍しくない。連結売上高が年間1000億円を超え、芸能プロダクションで断トツなのだから、決してオーバーな表現ではないだろう。
「次のジャニーズ事務所の総帥は藤島ジュリー景子さんで間違いありません。そもそも昔から『いずれはジュリーさんが社長になる』と社内外の関係者の誰もが思っていました」(レコード会社幹部)
帝国の継承者がジュリーさんになることは早くから決まっていたのだ。
このため、ジュリー体制の船出に備え、その障害になり得る突出したスタッフには“排除の論理”が働いた。言うまでもなく、SMAPを国民的スターに育て上げた飯島三智さん(61)=現CULEN代表=のことである。2016年1月、彼女は事務所を去った。
「飯島さんを辞めさせることが優先された。SMAPの存続と解散は二の次だったのが実情。彼女を辞めさせるとなると、SMAP存続は不可能でしたから」(別の元レコード会社ディレクター)
親族体制の堅持は古くからのことなのである。ただし、これが人材不足を招いてしまったという指摘が少なくない。
前出・レコード会社幹部が語る。
「芸能界最大の事務所でありながら、ジュリーさんを支える中堅スタッフが育っているように見えない。将来に向けての一番の不安要素でしょう」
統治者かつカリスマだったジャニーさんの死により、帝国は危機を迎えつつあるという声があちこちで上がり始めているのだが、その理由の一つが人材不足なのである。
事実、現在の有力スタッフは60代、70代ばかり。87歳で逝ったジャニーさんを慕って事務所に入り、ともに歳月を重ねてきた人たちである。
年齢上の問題で退職を表明しながら、事務所からの遺留を受けて勤務を続けてきたスタッフもいる。独立して自分の会社をつくったが、乞われて事務所に戻された人も。やはり人手不足感は否めない。
しかも、ジャニーさんの死により、それが深刻化する恐れもある。
「『義理ははたした』と考え、辞めるスタッフがいるはずです。今を区切りにしないと、また辞められなくなるから」(元民放幹部)
音楽プロデューサーとして山下達郎(66)らを育てたあと、三顧の礼で系列レコード会社「ジャニーズ・エンタテイメント」=5月31日付で解散=の社長に迎え入れられた大物幹部の小杉理宇造氏も71歳になる。
現在の肩書きはジャニーズ事務所顧問だが、やはりジャニーさんの死を契機に事務所を離れるのではないかとレコード業界内では噂されている。
本当に小杉氏が去ってしまったら、ジャニーズは音楽面での頼れるアドバイザーを失う。新人発掘と、若手集団のジャニーズJr.の育成は、滝沢秀明氏に任せられるのかもしれないが、歌のプロデュース面までは難しいだろう。
ジュリーさんが社長を務める系列レコード会社「ジェイ・ストーム」にもプロデューサー、ディレクターがいる。だが、そもそも司令塔はジャニーさんで、選曲などをすべて行っていたのだ。
音楽ブロデューサーとしてのジャニーさんの凄さを表すエピソードがある。2004年9月に発売された関ジャニ∞のデビュー曲「浪花いろは節」は、発売週にオリコンの「演歌・歌謡部門」で1位になった。「ジャニーズが演歌?」と驚く人もいただろうが、実は「この作品は演歌ジャンルで売るように」と指示したのもジャニーさんなのだ。やはり類い稀なる才能の持ち主だった。
そんな偉大な叔父の跡を継ぐジュリーさん。その素顔や手腕はどうなのだろう。
「TOKIOや嵐を育てた実績は評価されている。ジャニーさんが特に評価したのは、TOKIOに楽器を持たせ、ロックバンド化したこと。ジャニーさんのアイドルづくりの基本が『歌って、踊って』なのは知られているとおりだったが、楽器を使うという発想はなかった。事務所に新風を吹き込んだ」(同・レコード会社幹部)
ジュリーさんは、10代で子役などを経験。上智大を卒業すると、フジテレビの嘱託社員になる。そして役員秘書を務めた。
「メリーさんはジャニーさんと二人三脚で会社を大きくしてきただけあり、ときには押しの強い人だが、ジュリーさんは典型的なお嬢さま。フジの役員にも可愛がられた」(民放幹部)
今も物腰は穏やかで悪評は聞こえてこない。もっとも、だからこそ不安視する声が上がる。
「よほど強力な援軍を得ないと、生き馬の目を抜くような芸能界で勝ち抜くのは至難だろう。会社のスタッフも100人を軽く超えており、そう小さな会社ではない。それを束ねるだけでも一苦労」(前出・民放幹部)
これまではジャニーさん、メリーさんの2人でやってきたテレビ局幹部やレコード会社幹部との折衝もいずれは1人でやらなくてはならない。
「テレビ局に限ると、ジャニーさんは全局に強い発言力があった。テレビ界への大功労者である上、接待のつもりではなかったのでしょうが、麻雀外交の効果もあったから。ジャニーさんは以前、局の幹部たちと頻繁に麻雀をやっており、それによって対話が生まれた。各局とのパイプができた」(前出・民放幹部)
ジャニーさんが麻雀とは意外な一面だが、数少ない趣味だったそうだ。
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