大河「いだてん」、アベサダもショーケンも効果なし、クドカンドラマとして楽しむ方法

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 ようやくクドカン(脚本・宮藤官九郎[48])のドラマになった、と思っている方も少なくないのではないか。

 大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺」の後編が始まった。マラソンで言えば折り返し地点、駅伝で言えば復路に入った。同時に、主役は日本のマラソンの父・金栗四三を演じた中村勘九郎(37)から、日本に初めてオリンピックを招致した田畑政治を演じる阿部サダヲ(49)にバトンタッチ。阿部といえば、クドカンとは同じ劇団仲間で、気心も知れた仲。ドラマのテンポはさらに上がったが、話の流れはむしろスムーズに。さらに3月に亡くなったショーケンこと萩原健一(享年68)も登場した。

 見所も多く、面白くなってきた。ところが、視聴率は相変わらず、一桁から抜け出せない――。

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 放送記者が振り返る。

「クドカンの脚本は、1クールのドラマだと初回は顔見世興行的に、時間も場面もあっちこっちへ飛んでわかりにくく、テンポがよくなるのは2話以降というパターンがあります。しかし、大河ドラマという1年に亘るストーリーで、出演者も多いためか、はたまたNHKスタッフが不慣れなのか、わかりにくい期間が長く続きました。大河にとって鬼門である近現代をテーマにしたこともあって、往年の大河ファンはどんどん離れていきました」

 第1話(1月6日)の視聴率こそ15・5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区:以下同じ)とまずまずのスタートを切ったが、第2話以降、12・0%→13・2%→11・6%→10・2%と着実に数字を減らせていった。そして第6話(2月10日)で9・9%と、大河史上最速で二桁を割ってからは、ずーっと一桁が続いている。

「前編の主役だった勘九郎さんは下手な役者とは思いませんが、クドカンの脚本に合っていたかと考えると疑問です。彼のドラマは阿部さんのようなスコーンと振り切った演技ができる人のほうが面白くなるし、テンポもよくなります。比べるのは可哀想ですが、阿部さんはクドカンドラマの常連ですし、同じ劇団ですからね。それでもGW頃からは、『いだてん』を見続けている人たちの間では、評価も上がっていたんです。“神回”と呼ばれる放送もありました」(同・放送記者)

 例えば、第19話(5月19日)は、若き日の古今亭志ん生を演じる森山未來(34)が、長男の金原亭馬生、次男の古今亭朝太(のちの志ん朝)という親子3人を演じ分け、リレー型式で創作落語「箱根駅伝落語」を語った姿には、SNSでも驚きの声が上がっていた。

〈森山未來の馬生と朝太が圧巻だった〉

〈朝太に、長男の馬生 #いだてん とんでもないな、この人っ!!〉

〈話し方、所作までも品がある金原亭馬生、華があってワクワクする古今亭朝太。二人を演じ分けられた森山未來さんに感服しました!〉

「森山主演で、古今亭の親子3人を大河にしてもよかったのではないかと思ったほどです。でも、この第19話でさえ視聴率は8・7%でした。さらに大河史上最低視聴率(6・7%)と報じられた第22話(6月9日)も神回のひとつと言われています。森山演じる志ん生にいよいよ真打ち昇進が決まるのですが、用意してもらった羽織など一式を質屋に売り払って飲み代に使ってしまう。それを攻められて逆ギレする演技もよかったのですが、この回の目玉は、女子スポーツの始まりと偏見との闘い。女学生たちが闘う姿が絶賛されました」(同・放送記者)

 教室に立て籠もり、校旗を振るう姿はドラクロワの名画『民衆を導く自由の女神』にそっくりと話題になり、女学生たちのセリフも賞賛された。「女らしい、らしくないって誰が決めたんですか! 男でしょ」「でしたら、男らしさも女に決めさせるべき」――大河というよりも舞台劇のようだった。

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