外国籍の著名人が日本で見つけた飲食店 美味しいNIPPON

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 好きな飲食店や好物の話を聞けば、その人の人となりが解るというもの。ゆえに「名は体を表す」ならぬ、「食は体を表す」なのである 。この企画では、外国籍の著名人の方々にご登場頂き、行きつけのお店をご紹介してもらいます! 意外なお店のチョイスに驚くこと必至! 彼らの食に対する感性と経験が垣間見えちゃうんです。記念すべき第1回は、シジマール・アントニオ・マルチンスさん。居酒屋「おもひで横丁 藤枝市場~」に伺いました!!

 Jリーグが開幕した1993年、清水エスパルスにGK(ゴールキーパー)として入団したシジマールさん。長い腕を駆使し、スーパーセーブを連発したことから「クモ男」の愛称で親しまれていた。

 現役引退後は指導者として活動しており、現在は静岡県藤枝市などをホームタウンとする藤枝MYFCのGKコーチを務めている。撮影前日の試合でチームが勝ったこともあり、

「昨日勝ってよかったよ。しかも相手に1点もゴール決められなくて、3対0だから、GKコーチとしては最高。明日はオフだし、今日はいい酒が飲めそうだよ!」

 と笑い、特大ジョッキで生ビールをキューッとあおるシジマールさん。そんな彼の行きつけは焼津で獲れた新鮮な魚介類や地酒などが自慢の居酒屋「おもひで横丁 藤枝市場~」。ここには月に1回ほどのペースで訪れるそう。

「僕は居酒屋が大好きで! 選手をやめた後、居酒屋に初めて行ったんだけど、メニューの種類が豊富で、安くて、どれも美味しくて驚いたんだ。ここもチームメイトに連れて来てもらって、感激してね。藤枝で一番のお店だと思うよ」

 お店に来るといつも頼むというホッケの骨を箸で器用に取り、「骨は揚げて骨せんべいにしてね」と馴染の店員に頼む。箸袋で箸置きを作り、日本酒を注がれれば、「オットット」と言いながらコップに口をつける様子は、日本のオジサンのそれである。奥さんのホザンジェラさんによれば、

「シジは本当は日本に生まれる人だったんじゃないかな(笑)。コウノトリが間違えてブラジルに運んじゃったんだと思うよ」

 一般的に、外国人は生魚に抵抗感を持つというが、シジマールさんは、来日当初から大丈夫だったそうで、マグロの刺身なら毎日食べたいと話す。

「味噌汁も好きだよ。あ、この後、シメで味噌ラーメン行く? 近くにいい店があってさ。餃子も美味しいんだよ」

 日本人より日本人らしいシジマールさんの愉快な宴はもうちょっと続くようだ。

週刊新潮 2019年7月11日号掲載

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