大谷翔平、野手でもメジャーの名選手を超える“驚くべきデータ”
ロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平は、野手でも往年の名選手を超越している――。
大谷の野手出場が、1シーズンにフル出場した場合の試合数である通算162試合にまもなく達する。昨シーズン、大谷は野手として104試合、投手として10試合に出場した。昨年10月にトミー・ジョン手術を受け、野手に専念している今シーズンは、前半戦を終えて53試合。投手出場を除くと、合計は157試合だ。最速であれば、7月16日のヒューストン・アストロズ戦が162試合目となる。
大谷はここまでの157試合で、打率.292、出塁率.358、36本塁打、OPS(出塁率+長打率).925を記録している。この成績は、大谷と同じように新人王を受賞した近年の選手と比べても、まったく引けを取らない。
例えば、2012年のア・リーグ新人王で、大谷とチームメイトのマイク・トラウトは、2011年7月のデビューから翌年9月までの162試合で、打率.309、出塁率.374、32本塁打、OPS.905を記録した。2人の成績を比べると、打率と出塁率はトラウトが少し上だが、本塁打とOPSは大谷が勝る。大谷は162試合まであと5試合を残しているので、本塁打は増える可能性もある。OPSは下がったとしても、トラウトを下回ることはまずない。
言うまでもなく、トラウトは現在のメジャーリーグで最高の選手だ。過去7シーズンのうち、MVP受賞が2014年と2016年の2度、投票2位は4度。残る1度も4位にランクインしている。
トラウトとの比較に限ったことではない。2012年のトラウトとブライス・ハーパー(当時ワシントン・ナショナルズ/現フィラデルフィア・フィリーズ)以降、新人王を手にした野手は、二刀流の大谷を含めて11人を数える。
大谷以外の10人による、デビューから162試合の平均は、打率.286、出塁率.365、33.2本塁打、OPS.884だ。大谷は出塁率が平均より7ポイント(7厘)低いだけで、他のスタッツはいずれも平均を凌ぐ。
打率は11人中4位、出塁率は7位、本塁打は5位、OPSは4位に位置する。OPSのトップである.969のホゼ・アブレイユ(シカゴ・ホワイトソックス)とは開きがあるものの、それに次ぐ.928のアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)と.926のコリー・シーガー(ロサンゼルス・ドジャース)との差はないに等しい。大谷を除く10人はいずれもオールスター・ゲームに選ばれたことがあり、昨シーズン、大谷とともに新人王を受賞したロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)は、今年のファン投票でナ・リーグ外野手部門の3位に入った。
大谷らのデビューから162試合は、過去の名選手を凌ぐ。今年を含め、2001年以降に記者投票で殿堂入りした野手26人のなかに、キャリア最初の162試合で打率.290以上は11人、出塁率.360以上は7人いるが、30本塁打以上はマイク・ピアッツァ(31本)だけで、OPS.900以上はフランク・トーマス(.981)しかいない。
史上最高の得票率99.3%(現在でも野手では最高)で殿堂選出を果たしたケン・グリフィーJr.は、打率.291、出塁率.354、23本塁打、OPS.814だ。大谷の数値は、いずれもグリフィーJr.を上回る。なお、薬物使用がなければ殿堂入りしていてもおかしくない、マーク・マグワイア、アレックス・ロドリゲス、マニー・ラミレスのデビューから162試合は、マグワイアが打率.286、出塁率.365、51本塁打、OPS.974、ロドリゲスが打率.316、出塁率.367、30本塁打、OPS.916、ラミレスは打率.282、出塁率.369、33本塁打、OPS.914と揃って高水準ながら、バリー・ボンズは打率.235、出塁率.335、22本塁打、OPS.769だった。
ちなみに、デビューから162試合における日本人選手のトップ2は、打率がイチロー(.346)と田口壮(.293)、出塁率がイチロー(.377)と福留孝介(.370)、本塁打が城島健司(20本)と井口資仁(18本)、OPSはイチロー(.827)と青木宣親(.795)だ。松井秀喜のデビューから162試合は、打率.286、出塁率.352、16本塁打、OPS.786で、どのスタッツもトップ2には入っていない。大谷は、OPSと本塁打の記録を大きく塗り替える。
“野手”大谷が今後、メジャーリーグでどんな記録を更新していくのだろうか。