「GACKT」宣伝の甘熟王バナナ、フィリピン工場は労働者が殺害される劣悪な環境
GACKTの契約も問題化!?
住友商事に取材を依頼すると、回答するとして質問項目の求めがあった。メールで送付すると、文書で回答が行われた。一問一答の形式でご紹介する。
――バナナ梱包工場で労働者の方々が劣悪な環境で働かされるなどの人権侵害や、偽装請負、スト破りなどの違法行為が行われていたことを、把握しておられたでしょうか?
住友商事の文書回答(以下、住商):現地経営陣からは法令遵守に加え、行政の指導を受けながら適切に対応しているとの報告を受けております。又、弊社としてもこれまでの当局が関与した調査・仲裁の結果等を総合的に勘案し、Sumifruは適切に対応していると判断しております。
――住友商事が自ら改善策を講じたり、スミフル社に改善策を提案されたりするなどの行動を起こされたでしょうか?
住商:弊社はSumifruに対して、法令遵守とともに労働者の安全や人権に配慮した雇用環境を確保するため、必要があれば状況改善に取り組むべきことを要請してきました。現地経営陣からは法令遵守に加え、行政の指導を受けながら適切に対応しているとの報告を受けております。
――元労働者の方々が日本で会見を開いたのが6月18日、御社がスミフル株の売却を発表されたのも同じ日でした。関係者の間では「元労働者の会見が大きく報道されないよう、あえて同じ日に発表を設定した」という声も聞かれますが、こうした指摘については、どのようにお考えでしょうか?
住商:今回のSumifru社株式売却は、今後の同社の更なる成長戦略を検討するにあたり、合弁パートナーと協議した結果、売却することになったものであり、ご指摘の会見とは関係ありません。
――現時点で、現地の状況をどのようにお考えですか?
住商:株主として経営陣と会話を継続しており、当社の企業理念に合致した形で事態が解決することを期待しております。
――株を売却しても、スミフル社とコンサル契約を結んだり、ペーパーカンパニーに引き受けさせたりして、一定の発言・影響力を保持することは可能だと思いますが、どのようにしてパートナーシップを解消するのでしょうか?
住商:今回のSumifru社株式売却は、会社として正式に発表しているとおりです。持分売却先のThornton VentureLimitedと弊社に資本関係や人的関係もありません。
他に住友商事からは、株の売却後、甘熟王などのバナナが国内で流通するのかについても回答があった。これも文面をそのままご紹介する。
《Sumifru Singaporeの株式は売却することで合意をしましたが、以降のフィリピンバナナ販売等については、同社の青果等を扱っている当社出資の国内販売会社を通じて一部販売は継続する予定です。甘熟王ブランドはSumifruに帰属しており、同社を通じて継続して販売をすると聞いております》
そして住友商事と同じように社会的責任が問われるのがGACKTだ。もちろんイメージキャラクターに就任した時はフィリピンの状況などは知らなかっただろうが、今は違う。
おまけに住友商事の回答によれば、バナナの販売は継続するという。NPO法人「アジア太平洋資料センター」の田中滋・事務局長に再び登場いただこう。
「マスコミ各社がフィリピンの実情を報道してくださり、SNSでも相当な拡散がありました。率直に言って、GACKTさんがスミフル社の仕事を引き受けることは、ご自身のイメージを毀損する危険性があると思います。住友商事も株を売却し、少なくとも表面的にはスミフル社との関係を絶ちました。GACKTさんもスミフル社との契約を見直されたほうが安全なのではないでしょうか」
GACKTの公式サイトを見ると、最新のニュースは7月1日に掲載された「GACKTが日本グロウンダイヤモンド協会のエグゼクティブオーガナイザーに就任」だ。この欄に「GACKTが“甘熟王ゴールドプレミアム”のイメージキャラクターを退任」と広報される日は来るだろうか?
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