50代の7割がノープラン! 定年後のマネー計画を立てていない人が今やるべきこと
現実から逃げない
小野原先生:まず(1)の無頓着タイプ。奥さまに家計は任せっきりとか、仕事ばかりでお金については今まで全然考えてこなかった、という方がこのタイプです。
――私がそうかも(笑)
小野原先生:男性で50代の方だとこのタイプは結構多くいらっしゃいますね。無頓着タイプの方々に私が声を大にしてお伝えしたいことはただ一つ、「夫婦でお金について話しあってほしい」ということです。
――う…、耳が痛いです。
小野原先生:前職の証券会社時代のお客様にも、お金をどうするか以前に、そもそもお金の問題について夫婦で話せないというご相談をよく受けました。中には、家族会議に私も入ってくれないか、という相談を受けたこともあります。
――そこまでですか。
小野原先生:はい。長年連れ添ったご夫婦であればあるほど、本当に切実な悩みだと思います。話したいけれどいまさら話すだなんて無理、きっかけがうまく掴めない、と。ただこういった問題を放っておくと、老後にお金で困ってしまうことはもちろん、熟年離婚などにつながってしまうことも十分ありえます。
――はぁ…、まぁそうですよね。でも実際どうすればいいんでしょう? 今まで話をしなかった人がどう切り出せばいいんですか?
小野原先生:方法は色々とありますが、今までお金について無頓着だったり、話し合ってこなかったご夫婦が急に話されるとなると、意見が早々にぶつかってしまうことも結構あるんですね。そういった時に是非意識していただきたいことは、客観的意見をうまく使うことです。
――客観的意見、ですか。
小野原先生:はい。「○○ではこう言っているけれど、うちの場合はどうかな?」といった感じで話し合いをしていただくんです。例えば今であれば、老後2千万円問題の影響で書店にも定年後のお金に関する本がたくさん並んでいると思います。そういうものを一冊買ってみて、そこに書かれたことをきっかけに話してみるというのは良い方法だと思います。
――確かに今の社会問題にうまく乗っかってしまうというのはアリですね。
小野原先生:あと手前味噌ですが、私たちがやっているような初心者向けのマネー講座にご夫婦で参加してみるというのもすごく良いと思います。実際にご夫婦で来てくださる方もちらほらいらっしゃいますよ。ちなみに現役受講生である50代男性のお一人は、学校で使っている書き込みのある教科書をさりげなく家族が集まるリビングに見えるように置くのがオススメとおっしゃっていました。そうすると自然とご家族の方から話題にしてくれるそうです。
――夫婦で参加できない場合は、このパターンできっかけをつかむのもありですね。
小野原先生:お金の計画って「人生の計画」なんです。ご夫婦の価値観のすり合わせなしには、絶対に計画は立てられませんからね。
――確かにそうですね。
小野原先生:あと、(2)のあるだけ使っちゃうタイプと(3)のとりあえず貯金タイプについては、今までも色々とお伝えをしてきたので、その記事をお読みいただければと思いますが、(2)のタイプの方は、ずばり「支出の把握」、そして固定費を中心に「家計の見直し」をすることが最重要となります。定年退職して急に家計をダウンサイジングしようと思っても、一度あげたクオリティを急に下げることは簡単なことではありません。50代の方はご家族構成によって、教育費や介護費など、多くかかってくる費目が結構違うという現状もありますが、それでも手取り収入の最低2割は定年後のために確保してほしいですし、先取り貯蓄は必須です。
――そうですよね。
小野原先生:そして、(3)のとりあえず貯金タイプの方には、すべてを貯金するのではなく一部を「投資信託など長期投資にまわすこと」をおすすめします。定年は近づいているとはいえ、いまや人生100年時代ですので、長期の分散投資によって「お金を増やす」こともまだまだ可能です。50代の方でしたら以前お伝えした「つみたてNISA」の口座で運用するのも賢い選択だと思います。ただ投資信託は様々な商品がありますので、必ず知識をつけて良い商品を選んで運用してほしいと思います。
――そうですね。
小野原先生:いずれのパターンにせよ今の50代の方に必要なことは、現実から逃げずに定年後のお金について知ることです。そのためにもご夫婦なら、お二人でお金について話をしていただくことが不可欠です。現状を正しく把握し、自分たちが定年後どう生きたいかを話し合い、理想の人生を歩む計画を共に立てる。ぜひ今週末にでもトライしてほしいですね!
〈今日の学び〉
・50代で定年後の資金計画策定の準備なし、と答えた人は65.4%。
・定年後のお金の問題、最初の一歩は、まずは「夫婦で」話し合うこと。
・本をきっかけに話をしたり、夫婦でセミナーに出るのもあり。
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