50代の7割がノープラン! 定年後のマネー計画を立てていない人が今やるべきこと

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 年金、住まい、資産運用……そろそろ真剣に「定年後のお金」について考えないといけない、そんな現役世代の人たちに、創立17年のお金の学校「ファイナンシャルアカデミー」(https://www.f-academy.jp/)の講師陣が定年後の設計方法をわかりやすく指南します。第7回の講師は引き続き、某大手証券会社出身でファイナンシャルプランナーでもある小野原薫先生。
 今回はスタッフが聞き役となり「調査結果で見えた50代の赤裸々マネー事情。7割弱を占める定年後のマネー計画を立てられていない人が今週末に行うべき、たったひとつのこと」と題してお送りします。

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小野原先生:いわゆる「老後2千万円報告書」が出されて早1カ月が経ちますが、まだまだ世間の関心は高い状況ですね。そんな中で今月3日にまた一つ、興味深い報告がありました。日銀に事務局を置く「金融広報中央委員会」というところが発表した調査結果です。

――何の調査なんですか?

小野原先生:「金融リテラシー調査2019年」という調査です。日本の18歳以上の方の金融リテラシーを調べるために3年に1度、大規模に行っている調査でして、今回も全国2万5千名を対象に調査しています。

――内容的にはどういったことを調査しているんですか?

小野原先生:金融リテラシーの現状分析から海外との比較、都道府県別の調査、それからキャッシュレス決済や暗号資産、いわゆる仮想通貨に至るまで本当に幅広い内容に関して全国の様々な年代、性別の人に調査・分析したものになっています。今日はその中でも、みなさんにとって身近な「定年退職後」に関する調査結果を紹介したいと思います。

――気になります!

小野原先生:まず、私が衝撃を受けたのが「50代の公的年金に関する理解」についての調査結果です。

――私たちの連載みたいなテーマですね(笑)

小野原先生:「加入している公的年金の種類を知っていますか?」という問い。これはいわゆる「私は会社員だから厚生年金で2階建てですよ」とか「私は自営業だから国民年金で1階建てですよ」というあの話なんですが、この問いに対して「知らない」と答えた方が28.8%、なんと約3割もいらしたんです。定年後を意識せざるを得ない50代でこの現状には驚きでしたね。

――そうですね。年金をまだ意識しなくていい年代ならともかく、ですが。

小野原先生:そして「公的年金を受け取れる金額」について。これは「知らない」と答えた方がなんと62.6%もいらっしゃったんです。あと数年で年金暮らしが始まる50代の方ですら、約6割が自分の年金額がよくわからないという事実…。

――そりゃ、世間を賑わしている「2千万円で本当に足りるかわからない!」って話になりますね。

小野原先生:そうなんです。定年後に定期的に入ってくる金額がわからなければ、月々の赤字額も当然想像がつきません。言うまでもありませんが、年金額をシミュレーションすることは、定年後準備の必須タスクの一つです。読者のみなさんはもう大丈夫だと思いますが、誕生日に送られてくる「ねんきん定期便」を見るか、誕生日のタイミングでなくとも日本年金機構のホームページにある「ねんきんネット」を通して、まずはご自身の公的年金のだいたいの額を知ってほしいですね。
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――そうでしたね。

小野原先生:さらに私がショックだった調査結果。それが、「定年退職後の生活費について、資金計画が策定できているか」という問いです。いま50代の方のうちどの程度の方が、老後のお金に関する計画を立てられていると思いますか?

――そう聞かれるってことは、あんまり多くないってことですよね…?

小野原先生:はい。資金計画の策定について「なし」と答えた方の割合は、なんと65.4%です。

――50代にして「老後のお金はノープランが7割弱」とは…確かに衝撃ですね。

小野原先生:そうなんです。さらに「資金の確保」にまで話が至ると、73.9%が「確保できていない」と答えているんです。定年がそろそろ見えてきた50代の方々の結果でこれです。金融業界にずっと携わってきたものとしては、この結果は改めてショックでした。

――予想以上の多さですね。私も正直びっくりです。

小野原先生:ただ、こうやって私は今デイリー新潮さんを通して、多くの方にメッセージを伝えられる立場にいるわけですので、衝撃を受けて終わりではなく、これまでの経験を通して、皆さんに今からできることをお伝えしたいと思います。

――ぜひお願いします!!!

小野原先生:個人個人によって状況が違うことは大前提にはなりますが、50代で老後資金準備が進んでいない方の場合、実は下記のいずれかのパターンに当てはまることが多いんです。

(1)無頓着タイプ
(2)あるだけ使っちゃうタイプ
(3)とりあえず貯金タイプ

 一つ一つ、改善策をお伝えしますね。

――ぜひ!!

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