日本人の“京都離れ”が進行中、インバウンドがもたらす「観光公害」という病

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地元民が敬遠しだした「祇園祭」

「7月から1カ月続く祇園祭は、17日の“山鉾巡行”は観光客が集中し、その前日に各町内で行われる“宵山”は、巡行当日は近づけなかった山鉾を間近で見られ、多数の露店が出て、厄除けとして玄関に飾る粽(ちまき)を買うのが市民の楽しみになっていました。“巡行は観光客、宵山は市民”という具合に棲み分けができていたのですが、近年の観光客の増加で宵山にも観光客が押し寄せた。山鉾を飾る場所は、狭い路地が多いので、歩くこともままならないほど混雑します。それで市民から、『行く気が失せた』、という声をよく聞きます」

 京都っ子の台所「錦市場」は食べ歩き天国に……。

「市民の台所と呼ばれた錦市場は、四条通の1本北にある錦小路通のうち、寺町通と高倉通に挟まれた400メートルほどの商店街で、魚屋が多く、刺身をサクで売っていました。それが12年以降の外国人観光客の増加で、食べ歩きができるように、刺身やイカ、エビ、はんぺんなどを串に刺して、店の一番目立つところに置いて売るようになったのです。市民が買いたい商品は店の奥に引っ込み、地元の人の足が遠のいてしまいました」

 舞妓・芸妓がパパラッチに狙われることも。

「祇園界隈では、舞妓や芸妓が歩いていると、外国人観光客がカメラを向けるというケースが多くなっています。中には着物に触れたり、付け回したりするケースも。芸妓の見習いである舞妓は20歳前後と若いので、外国人に囲まれて怖い思いをした人もいたと思いますが、根本的な解決策がないというのが現状です」

 住宅事情も大きく変わりつつあるという。

「京都のホテル建設ラッシュで、地価もここ4、5年で2、3割高騰しています。ホテル建設のため、マンションの建設が難しくなったため、滋賀県でマンションが次々に建っていますよ。草津から京都まで電車で30分かかりませんからね。郵便受けには、滋賀県のマンションのチラシが入るようになりました」

 日本人からも敬遠され始めた京都。観光公害を解決する術はあるのか。

「ハワイのオアフ島のトローリーバスのような、観光客専用のバスを設けて、市民用のバスと分離するべきですね。マナーの問題では、訪日客はほとんどが航空機を使いますから、機内で日本でのマナーを伝授してみてはどうでしょうか。さらに、人気のある寺院だけに観光客が集まらないように、入館者の数を制限したり、拝観時間も夜まで延長、マイナーな寺院をアピールするなどして、観光客を分散させることも必要でしょう」

週刊新潮WEB取材班

2019年7月7日掲載

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