神奈川逃走事件を招いた甘過ぎ「女性裁判官」の知られざる人物像

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裁判官の「庶民感覚」

「保釈も再保釈も、横浜地裁小田原支部の佐脇有紀裁判官の判断です」

 と、司法関係者が囁く。

「現在49歳の佐脇さんは神奈川県出身で、そのせいか小田原支部をはじめ、川崎支部や横浜地裁(本部)を転々とし、神奈川勤務が多い。有名どころでは、11年に霊感商法詐欺の『神世界(しんせかい)事件』に関わった元警視の裁判を担当したり、その前年には、桑田真澄(元巨人)の元義兄の詐欺公判に携わったりしています。神世界事件では、詐欺グループのトップの逃走を助けた元警視に対し、『彼は反省している』として執行猶予判決を出していました……」 

 そんな佐脇氏はかつて、裁判員制度の導入にあたり、こう語っている。

〈職業人でもプレッシャーを感じる。重大事件だからこそ、国民の意見を反映させることが大事だと思う〉

〈裁判官も社会の中にいる。安いスーパーに買い物にも行く〉(いずれも07年7月6日付朝日新聞より)

 どうやら庶民感覚を大切にしていると仰りたかったようなのだが、今回の再保釈決定に〈国民の意見〉や我ら庶民の常識が反映された形跡は全く窺(うかが)えない。

 元東京地検特捜部検事で弁護士の高井康行氏が斬る。

「今回のケースでは、男の前科の数やその内容から、かなり犯罪性が高く、反社会的な人物であることは想定でき、収監に素直に応じないことも予測可能であったと言えます。結果的に、近隣で生活する一般の人々の安全を脅かす事態となってしまいました。裁判所の判断の甘さは否定できないと思います」

 他方、甲南大学法科大学院教授(刑法)の園田寿(ひさし)氏はこう指摘する。

「日本には、実刑判決を受けながら逃走した者を裁く『遁刑(とんけい)罪』が存在しないのが問題です。逃走罪は身柄を拘束されている状況から逃げた人にしか適用されません。もちろん保釈金は没収されますが、第三者や所属組織が肩代わりして払っているケースも多く、必ずしも逃げた人への制裁にはなり得ていないのです」

 小林容疑者のような男を甘く見て、再保釈という甘すぎる決定を下した女性裁判官。小林容疑者が逃走していた間、彼女も気が気ではなかったに違いない。とはいえ、やはりどう「判官贔屓」しても、女性裁判官殿の判断に首肯するわけにはいかない。

週刊新潮 2019年7月4日号掲載

特集「『覚せい剤常習犯』を再保釈した『女裁判官』のご存念」より

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