「水素ガス吸入器」で認知機能が向上? お値段350万円、「エビデンスない」指摘も
認知機能が向上した
これに対し、アクアバンクが販売する3万円台のポータブルな吸引具「KENCOS3」は、随分安価なのが気になるが、
「1分間に最大8ミリリットルの水素ガスを生成。これで水素吸引することで、副交感神経を優位にするリラックス効果、脳が活性化する認知機能向上効果が得られることがわかっています」
同社の竹原タカシ社長はそう自画自賛しつつ、
「筑波大学大学院の矢田幸博教授と共に行った研究でも、効果が示された」
と、独りよがりでないことも、同時に強調する。
「昨年5月末から、鹿児島県西之表市で実施した産官学連携の研究では、水素吸引の高齢者の認知機能への影響を調べました。MCIと呼ばれる認知症予備軍の方を50人選び、1カ月にわたって1日5回、“KENCOS3”で5分ずつ水素吸引してもらいました。きちんと吸引できた方は17人でしたが、彼らは1カ月後の検査の結果、認知機能の向上が見られたのです」
昨年7月からは、神奈川県鎌倉市と共同で、半年ほどかけて実験したという。
「調査参加者募集の張り紙に集まった100名ほどの市職員を、ストレス・疲労関連を試験する35~55歳の男女71名と、疲労・認知関連を調べる55~65歳の男女30名に分け、前者をA、B群、後者をC群としました。水素吸引を続けて2カ月後、吸引前とくらべ、実年齢より脳年齢が高い人の数が減少し、認知精神機能の向上や改善が示唆されました。また、C群の参加者は3カ月の吸引で最高血圧が10下がり、水素によって血圧低下の可能性があることがわかりました」
筑波大の矢田教授にも補足をお願いしようか。
「水素吸引すると体はリラックスし、脳は活性化するので、疲労を抱える現代人には特に有効です」
と語る矢田教授は、
「水素水の効果については半信半疑でしたが、今では、水素の効果は間違いなくあるものだ、と確信しています。ただ、どうして効果があるのか、メカニズムがわからないので、これからの研究が必要です」
と言い、竹原社長が触れた実験について、
「鹿児島県ではアクアバンクの『KENCOS3』に認知機能の向上、不眠の改善や抑うつ効果があることがわかりました。鎌倉市との共同調査でも、ストレス低減や認知機能向上の効果があることがわかりました。私は最低でも、寝る前に1度は水素吸引していて、できれば1日3回くらい吸いたいと思っています」
ちなみに、週刊新潮の20代女性記者も、「KENCOS3」から水素を5分ほど吸う前と後とで、身体機能にどんな変化があるか、という検査を受けた。結果、短期記憶は2点から7点、長期記憶は0点から10点へと上昇し、総合得点は13点が26点へと倍増した。もっとも、10分程度の簡易的な検査で果たして、というのが、記者の偽らざる感想ではあるのだが。
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