宮迫博之だけではない闇営業、徹底的に取り締まったらTVに出られない歌手ばかり?

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徹底的にやり出したら…

 その闇の奥を覗くと、様々なことが見えてきた。先の芸能担当記者は言う。

「過去の歴史を見ると、今回の芸人たちの先輩がみんな身ぎれいだったと言い切ることもできないでしょう。島田紳助さんのこともありましたし。そもそも、芸能興行と反社会的勢力は切っても切れない関係にありますから。あの山口組にも、『山口組興行部』という部署がありました。美空ひばりさんだって、その山口組の田岡一雄3代目組長の庇護のもとスーパースターの地位を築いたんです。北島三郎さんが稲川会の新年会に出てNHK紅白の出場を辞退、なんてこともね」

 本誌(「週刊新潮」)が08年に報じた、山口組系の後藤組組長の誕生日を祝うパーティー。ここに小林旭や細川たかしなどが出ていた件も然り、だ。

 歌手と反社会的勢力のこのような関係を、元暴力団幹部で、作家の沖田臥竜氏は次のように語る。

「演歌歌手がパーティーなどに行くのは理由があります。ディナーショーの券をさばいてもらったり、なにかと面倒を見てもらうためです。仲介人がいればそれほど警戒せずに闇営業の現場には来ますよ。そのお礼や顔を立てる意味で出かけるのです。ギャラは、以前は車代として3万円から10万円ほどでした。しかし数年前にオレオレ詐欺が登場してからというもの、ギャラが跳ね上がっている。いま、100万円から300万円が相場です」

 額の多寡は別としても、それで稼いできた芸人も少なくないはずだ。続いて、芸能評論家の三杉武氏の話。

「事務所を通さない営業は吉本に限ったことではなく、ほかの事務所の芸人さんもやっていること。これは事務所と芸人のあいだの契約上の問題ですから、さほど大きな問題ではありません。問題となるのは反社会的勢力との交際に加え、金銭の授受があったことです。コンプライアンスに厳しい時世ですから、吉本としてはテレビ局やスポンサーの手前、処分せざるをえなかったのでしょう」

 この点を、さる芸能事務所の幹部に聞くと、

「闇営業が発覚したとき、宮迫さんが出ている人気番組『アメトーーク!』を抱えるテレビ朝日が吉本興業側にコンプライアンス遵守の徹底を求めました。ですが、清濁の清だけ求めてそれを徹底的にやり出したら、テレビに出られない歌手ばかりになってしまうんじゃないですか。このことは、テレビ局自体が一番よく分かっているはずだと思うんですがね」

 先ほど挙げた歌手たちで、視聴率を稼いできたのではなかったか。

「闇営業」の「闇の奥」には、芸人にしろ歌手にしろ、自分たちの王国で象牙のような富を築いてきた歴史が存在していたのである。

週刊新潮 2019年7月4日号掲載

特集「『宮迫博之』だけではない『闇営業』の『闇の奥』」より

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