不振「モスバーガー」を苦しめる構造的な問題、高級店舗も救世主にはならず?

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赤字の原因は食中毒に非ず

 共同通信は6月13日、「モス、横浜で新業態店舗 7月開店、高級バーガー」(電子版)の記事を配信した。

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《モスフードサービスが、1000円台の高級なグルメバーガーをメニューに加え、カフェを融合させた新業態の店舗を7月に横浜市で開店する方針であることが13日、分かった。ハンバーガーを軸とする新型店舗は2015年に東京都内に開店した「モスクラシック」以来、4年ぶり。来月にも詳細を発表する》(註:全角数字を半角数字にするなど、デイリー新潮のフォーマットに合わせた、以下同)

 昨年からモスは苦境に喘いでいる。例えば同社の公式サイトには《事故のご報告とお詫び》という記事が現在も掲載されている。

《2018年8月、長野県のモスバーガー2店舗において、腸管出血性大腸菌O121による食中毒事故が発生し、同時期に関東・甲信地域のモスバーガー計19店舗をご利用の28名の方が感染されるという事態が発生いたしました。発症されたお客様とそのご家族の方々には、多大なる苦痛とご迷惑をおかけいたしましたこと、心より深くお詫び申し上げます》

 18年7月27日に3175円だった同社の株価は、食中毒事故が発生してから下落を続けた。今年19年6月26日は2350円。約26%の下落率だ。

 5月には全国紙も赤字転落を伝えた。例えば朝日新聞は見出しに《モスバーガー11年ぶり赤字 2019年3月期》と打った。

《19年3月期決算は純損益が9億円の赤字になった。通期の赤字は11年ぶり。昨年8月に発生した食中毒でフランチャイズ店の売り上げが落ち込み、補償金として11億円の特別損失を計上したことが響いた。

 売上高は662億円で前年比7・2%減。既存店の来客数は今年2月まで17カ月連続で前年割れが続いていた。中村栄輔社長は「赤字になった責任を受け止めている」。3月は既存店の来客数が前年同月を上回り、回復の兆しもみえるという。20年3月期決算は純損益で10億円の黒字を見込む》

 5月の既存店・対前年同月比データを見てみると売上高は98・5%、客数は98・4%、客単価が100.1%という数字になる。昨年9月には既存店の売上高が84・9%まで落ち込んだ。確かに“回復の兆しもみえる”のかもしれない。

 だが、フードサービス・ジャーナリストの千葉哲幸氏は「食中毒を原因とする報道は表面的で、他に大きく影響しているものがあるのではないでしょうか」と疑問を投げかける。

「モスの退潮は、店舗経営者の高齢化が本当の原因だと見ています。例えば公式サイトに『店舗数の推移』というコーナーがあります。これによると国内店舗は15年3月期には1405店あったのが、19年3月期には1319店と減少しています。数にして86店舗。後継者がいないことから店を畳んだケースが考えられます」

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