第3次タピオカブームは定番化へ、利益率が良すぎて“黒いダイヤ”は売り切れ続出
いつかブームは終焉!?
そこで「業務スーパー」の公式サイトを見てみると、「冷凍インスタントタピオカ」(300g)と「タピオカドリンク(ミルクティー)」(1袋=65g×4食)が販売されている。前者が297円、後者は321円、共に税込みだ。担当者に話を聞いた。
「『冷凍インスタントタピオカ』は15年、『タピオカドリンク(ミルクティー)』は16年に販売を開始しました。人気がなければ廃盤ですので、利益が出るほどには売れていました。とはいえ、今のように滅茶苦茶に売れていたわけでもありません」
売れ行きが変わったのは昨年、18年の夏くらいからだという。
「1月から2月にかけて、急ピッチで売上が伸びていきました。そして現在は店頭に商品を置くと、片っ端から売れてすぐに売り切れてしまいます。昨年春と今年春の売上を比べてみると10倍というところです。ただ、今年春のデータは需用に供給が追いついていない状態のものです。もしフルに需用を満たしていたとしたら、10倍どころではなかったかもしれません」(同・業務スーパー担当者)
大ヒット中とはいえ、「冷凍インスタントタピオカ」も「タピオカドリンク(ミルクティー)」も、薄利多売の最たるものだ。「タピオカドリンク(ミルクティー)」は321円で4杯のタピオカミルクティーを作ることができるため、1杯は80・2円となる。利幅が少ないことは言うまでもない。逆を言えば、タピオカティーの専門店にとっては桁違いの利益率だということも浮き彫りになる。
ハウス食品の子会社で、香辛料の販売で知られたギャバンという会社がある。スーパーに瓶が陳列されているのをご覧になった方もおられるだろう。
実は同社、1988年からマレーシアでパールタピオカの製造を開始したという歴史を持つ。斯界では“老舗”なのだ。取材を申し込むと、文書で回答があった。
――どういう企業判断で、80年代にタピオカの製造に着手されたのですか?
ギャバン:マレーシアの生産拠点は、商社を介せず、独自の現地調達・一次加工を目的として、現地法人(工場)として子会社を設立いたしました。当初は国内向けスパイス原料の一次加工を目的としておりましたが、当該事業を継続する中でタピオカ製品の需要もあり、現在は、国内向けスパイス製品の一次加工、当該タピオカ製品の製造、東南アジア向け販売を主として行っております。
――90年代や2000年代の売上は、どのような数字でしたか?
ギャバン:残念ながら当時の記録はございません。
――現在のブームは、どうですか?
ギャバン:今回のブームにつきましては、昨年の夏ごろより顕著になってまいりました。販売見込みより引き合いが多く増産している状況です。(具体的な量についてはご勘弁くださいませ)
――第1次、2次、3次のブームで、タピオカの商品化に違いのようなものがありますか? 単価が上がり続けている、高級志向が見て取れる気もしますが?
ギャバン:誠に申し訳ございません、実態として業務用ということもあり、市場ニーズについては十分に把握しておりません。しかしながら、高級志向というよりも、世代が変わったことによる過去のブームの再燃と認識しております。
――第3次ブームは今後、どのような展開を見せるとお考えですか?
ギャバン:恐縮ですが、将来のトレンドを予測するまでには至っていないのが現状です。ただし、こういったブームはある周期で繰り返されるものと認識しております。また、ある程度の定番化はされるかと予測いたします。
ギャバンの指摘を具体化してみると、例えば、今年20歳になる女性が、タピオカティーのファンだとしよう。彼女は1999年生まれ。第1次ブームの時は産まれてさえいない。第2次ブームも小学生の頃だから、タピオカの入ったドリンクを口にした可能性は低いだろう。
彼女は第3次ブームで初めてタピオカを知り、それを満喫している。やがてブームは去るだろうが、日本におけるタピオカの定番化は進む。更に令和元年に生まれた乳児が成人式を迎える頃に、再び第4次タピオカブームが来るかもしれない、というわけだ。
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